京子
京子は男子が苦手だった。
中学校の頃、男子から結構モテていたが、それが原因で女子から浮いてしまった。
高校では、なるべく男子とかかわらないようにして勉強ばかりするようになった。
そのため、東京の大学に来た時は少し心配だった。
「京子は男に免疫がないから、悪い男に気をつけなさいよ」
地元に就職した姉からの言葉を胸に大学生活をスタートさせた。
そんな、京子にとって裕太は緊張せずに話せる数少ない男子だった。
理由はもちろん、裕太が中高男子校であったからである。
ずっと男子校なら女性経験もなく純粋なんだろうと、甘く見ていた。
だが、前期ももうすぐ終わる中、京子は裕太との関係を見直さなくてはならなかった。
裕太はすごく素質がある。
なにって、モテ男の。
男子校だから怖いもの知らずに誉めてくるし、
かわいいかわいいといろんな女の子に言っているし、
酔ったときなんかに介抱してくれるやさしいところもある。
同じクラスで法律研究会の陽子もすごく仲良くなっているし、
何より、皆憧れの桜井日向先輩とあんなに親密なのは彼だけだろう。
裕太が悪い男ではないことはもうわかった。
でも、このままだと遅かれ早かれ彼女を作ってしまう。
そしたら、裕太との距離はとても開いてしまうだろう。
男子が苦手な京子にとって、数少ない男友達の裕太を失うことは辛かった。
恋人にならなくていいから、女友達でいいから。
ずっとそばにいてほしかった。
「京子おつかれ」
週の初めは裕太と同じ授業だ。
半期ではなく、前期の授業なのでまだ一緒にいられる。
「うんお疲れ様」
裕太はいつものように京子の隣に座る。
そのまま、授業を受けて一緒にランチをするまでが、京子の楽しみだ。
「京子どうして髪染めたん?」
授業後、学食でランチを食べながら裕太が聞く。
「ん、ちょっと気分転換」
少し色を抜いた。
裕太に気づいてほしかったこともなくはない
「いいじゃん、かわいいよ」
ほら、そういう所だ。
裕太は高校の時から女子にモテモテだったイケメンのようにさらっと言ってくる。
男子特有の恥ずかしさからくる力みがない。
「ありがとう」
ドキドキする。
やっぱり、ほめてもらうとほっぺが自然に緩む。
ランチの後は別々の授業に行くためお別れだ。
「じゃあ午後も頑張ろうな」
「うん、じゃあね」
やっぱり、私には裕太が必要だ。
女友達としてでいいから、ずっとそばにいてほしかった。




