ケーキ屋 再び
詩織が日向からケーキ屋に誘われたのは2回目だった。
日曜日、詩織がウキウキしながら待ち合わせの駅に行くとすでに日向が待っている。
「遅くなりました」
日向は小さく手を振った。
「時間通りだから大丈夫だよ」
「隣駅においしいケーキ屋があるから行こうか」
そして、電車に乗って隣駅に降りる。
少し歩くと白い塗装をされたケーキ屋が見えてきた。
「ここですか?オシャレ!」
詩織がわくわくして話す。
「さあ入るよ!」
日向もいつもとは違ってテンションが上がる。
「ここはガトーショコラがおいしいんだよ」
日向が詩織におススメを紹介する。
結局、二人で5つ頼んでシェアしながら食べた。
「ん~おいしい!!」
日向が子供のような笑顔ではしゃぐ。
詩織はギャップ萌えで死ぬかと思った。
「苺ケーキもめっちゃおいしいです!」
詩織もケーキが気に入った。
「日向先輩よくこんなケーキ屋見つけましたね」
「先週、裕太君に連れてきてもらったの」
一瞬、沈黙が訪れる。
「ゆうちゃん、、ですか」
日向は詩織の返事に違和感を感じた。
「どうしたの?」
心配そうに詩織を見る。
「喧嘩でもした?」
詩織は首を振った。
「いや、喧嘩はしてないんですけど」
「ちょっと会うのが気まずいんです」
お泊りしたのに手を出されなかった、なんて恥ずかしくて言えない。
「そっか、私にできることあったら言ってね」
日向は深追いせずに言った。
「ありがとうございます」
日向は思いやりがあるが、同時に他人の悩みに無関心なところがある。
詩織は適度な無関心を貫く日向に何度も救われてきた。
「でも、日向先輩はゆうちゃんと仲いいんですね」
「そうだね、最近はよく会ってるかも」
ゆうちゃんはやっぱり日向先輩のような人が好きなんだろうか。
「そろそろ告白してくるかもしれませんよ」
からかって言ってみる。
「そう、、かな」
日向は少しまんざらでもなく返事をした、ように見えた。
「みんなの憧れの日向先輩の初めての彼氏になる人ってどんな人なんですかね」
慌てて話題を変える。
「それを言うなら詩織もでしょ」
日向は詩織に微笑む。
「まだ、彼氏作らないの?」
「いや、ちょっと、、なかなか難しいですね」
結構デートのお誘いはされるのだが、経済学部の男はみんなチャラチャラしてて苦手だ。
「裕太くんと詩織はお似合いだと思うよ」
日向が詩織の反応を探るように言う。
「そうですか?まあ幼馴染ですからね」
詩織はその誘いには乗らない。
わざとそっけなく答えた。
「私、応援するからね」
日向は念を押すように言った。
「ち、違いますよ。ゆうちゃんと私はそんな関係にはならないです」
詩織は照れ隠しから、また否定してしまった。




