ケーキ屋
土曜日、隣町の駅に行くため駅前に集合する。
「日向先輩お待たせしました」
時間通りに来たが日向先輩はすでに来ていた。
「ううん、私も今来たところだから」
今日も日向先輩は落ち着いた色のスカートが似合って綺麗だ。
「じゃあ行こうか」
隣駅まで電車に乗っていく。
隣駅には3分ほどで着いた。
駅前のケーキ屋に案内する。
白くておしゃれな建物が見えてきた。
「このタルトおいしそう!」
「モンブランもいいな~」
ウィンドウ越しにケーキを見る日向先輩はテンションが爆上げしていた。
「ここはガトーショコラもおいしいですよ」
日向先輩はまだ迷っている。
「うう、全部食べたい」
どんだけケーキ好きなんだ。
「全部頼めばいいんじゃないですか?」
「食べきれない分は俺が食べますよ」
「本当!?」
日向先輩がぱあっと笑顔になる。
「じゃあ、この3つ食べよ」
席について、2人で4つのケーキを頼んでシェアした。
法学部2年の乙女日向先輩とケーキをシェアできる男がこの世界にどれだけいるだろう。
「おいしいな~」
「おいしいですね」
二人で微笑みながらケーキを食べまくる。
結構俺たち恋人じゃない?
周りから見たら恋人でしょこれ
優越感という名の調味料をふりかけ、幸せそうな日向先輩の顔を見ながら食うケーキはうまいか?
はい!絶品です!!
ケーキをあらかた食べ終えた俺たちはコーヒーを飲みながらおしゃべりする。
「裕太くんはもう彼女とかできた?」
もう7月だから1年でも彼女できるやつは少なくない。
「彼女ですか…」
この前、詩織とワンチャンだったんだけどな。
「大学は甘くないですね」
俺は苦笑しながらコーヒーを飲む。
「こうやって一緒にお出かけできるのも詩織と日向先輩くらいですし」
「そうなの?」
日向先輩は意外そうに言う。
はい、嘘です。
あと、3人はいます。
「もう、彼女くらいできてると思ってた」
嘘だね。
彼女いると思っているなら、二人でのお出かけにホイホイ来ないだろう。
俺も言い返す。
「大学2年になるのに彼氏もできない日向先輩に言われたくないっす」
「ふふ、それもそうだね」
日向先輩は微笑んだ。
「どうして作らないんですか」
「出会いがないのかな」
何を言ってる。
鏡見て出直してこい。
確かに、今の男は草食系とか言われているが、こんな綺麗な人を放っておくほどおとなしくはない。
きっと、高校生のころからたくさんアプローチを受けてきたんだろうな。
清楚系だし、付き合った人はいないそうだが、それでも俺より経験は上だろう
「裕太くんはどうして作らないの?」
日向先輩は無邪気に聞いてくる。
女の彼氏作らないと男の彼女作らない
これを一緒にしちゃいけない
前者は自販機の前で水を求めている感じ。
後者は砂漠の真ん中で水を求めている感じ。
天と地ほどの差がある。
「彼女って作るものじゃなくてできるものだと思うんです」
とりあえず格好つけて言ってみる。
だから、彼女がいないんだぞとの言い訳も入っているが。
「打算じゃなくて、自分の時間とかお金を捧げてもいいなって思える人と恋に落ちたい」
我ながら結構いいこと言っているんじゃね?
恋人を暇つぶしとしか思っていない人にとっては臭いセリフかもしれないが。
「素敵」
すこし、沈黙した後日向先輩は微笑んで言った。




