酔っ払い
恋愛ものは慣れておらず、手探りで書いてます。
アドバイス等ありましたら感想をいただきたいです。
また、低評価でも構いませんので、評価をいただけると大変助かります。
「あら~詩織ちゃんフラフラじゃない」
「少し外の風でもあたってきたらどうね」
「裕太!詩織ちゃんを外に出してあげなさい」
酔っぱらった詩織を見て、親たちが口々に言う。
俺は仕方がないので詩織を連れて店の外に出る。
3月の夜はまだ寒く、ひんやりとした風が顔にあたる。
でも、少し酔っぱらていた俺にとってそんな風は気持ちが良かった。
大通りを通る車と街灯が白く照らす中、俺は詩織を店の外に設置されているベンチに座らせた。
「お~い、大丈夫か?」
「えへへへ、だいじょうぶだよぉ~」
あまり大丈夫ではないようだ。
「でも、ゆうちゃんと同じ大学に入れるなんてびっくりだよ~」
その話さっきしたけどな。
「そうだな。これからもよろしくな」
適当に返しておく。
「詩織はどのあたりに部屋を借りたん?」
「ねぇなんで昔みたいにしーちゃんって呼んでくれないの~?」
俺の質問には答えず、少し頬を膨らませてフラフラしながら詩織が覗き込んでくる。
「昔の呼び名だろ?今呼んでも恥ずかしいし」
「恥ずかしいってなんね~私たち幼馴染やん」
…幼馴染?俺達って幼馴染なの?
確かに幼いころは一緒に遊んだ。
でも詩織が附属小に行ったり、俺が中高一貫の全寮制に行った後は数えるほどしか会ってない。最後に会ったのは中学生の時だし。
「ちょっと待て、俺たち馴染んではないやろ」
「は?昔はずっと一緒やったやん!」
「昔って大昔やないか」
「うるさ~い!とにかく昔一緒にいたから幼馴染なの!」
詩織は駄々をこねる子供のように俺の頭をはたいた。見事に酔いが仕上がっている。
結局、そのあとしばらく涼んでいたが、詩織はフラフラしたままだったため、部屋で休ませて、俺は親たちと肉を食った。
「ふう。たくさん食ったなあ」
「詩織ちゃんもきれいになっていたしねぇ」
運転代行サービスに運転してもらいながら、両親は楽しそうにおしゃべりをする。
俺は両親の声を聴きながらぼんやり車の外を眺めていた。
久しぶりにあった詩織はとても綺麗になっていた。
俺が男子校にいたからというのは関係ない。むしろテレビの芸能人やアイドルしか見ていないからストライクゾーンは狭くなっているのだ。
そんな俺からしても詩織は綺麗だった。
最後に会った中学生の時のようなスポーツ少女の面影を残しつつ、明るい雰囲気に少し色気が混じったような不思議な雰囲気を持っていた。
おんなじ大学か
俺はなぜかわからないけど少し嬉しくなって呟いた。