テスト勉強
試験も近くなってきた日曜日、俺は陽子と大学図書館にいた。
「ねぇ山田くん、甲建物って何でAの所有になるの?」
民法の勉強だ。イメージできないと非常に分かりにくい。
「これ乙が悪意だったから法律で保護されないんだよ」
「ああ~なるほどね」
陽子は頷いてメモをする。
陽子はあまり勉強しているとは言えないものの理解は早い。
『まもなく、閉館の時間になります。まもなく、閉館の時間になります』
図書館のアナウンスが響く。
平日は21時までだが、休日は18時までだ。
「やっぱり、一人でやるより集中できるね」
荷物を直しながら陽子が言う。
「そうだね」
同意はしたものの、俺は本来一人で勉強するタイプだからそうでもない。
「ねね、せっかくだからこのまま晩御飯いかない?」
陽子が誘ってくる。
この人ホントに彼氏おるんかいな
だが、せっかくの機会なので行ってみよう。
「今月、お金ないから定食屋ならいいよ」
金欠なので酒は飲まない。
近くの定食屋でご飯を食べていると、陽子が聞いてくる。
「山田くん、そろそろ彼女できた?」
「まだまだ」
「ウケるね」
相変わらず腹が立つ顔だ。
「逆にどうやって付き合うの?」
経験が豊富そうな陽子に聞いてみる。
「まず、3回くらいデートいくじゃん」
「そして、3回目か4回目くらいに告白するじゃん」
「で、相手がオッケーくれたらゴールイン」
まず3回デート行くのが不可能だろ。
そんなに誘ったら相手も気づくのではないか
でも、確かに大学生にとって告白は確認作業って聞いたことがある。
「なるほどわからん」
まあ、頭の片隅に入れておこう。
「でも山田くん、桜井先輩脈ありだと思うよ」
陽子が言う。
日向先輩は雲の上の人だ。
そう簡単にいかないだろう。
「桜井先輩、ちょっと近寄りがたいオーラ出しているけど山田くんとは普通に話しているし」
「あの人、あまり笑顔見せないんだよね」
確かに、日向先輩はいつも真剣な顔している。
陽子みたいなヘラヘラ女子にとっては怖いかもしれない。
「まあ、真面目な人だからね」
陽子はふーんと片肘を突く。
「やっぱり山田くんは真面目な子がいいのね?」
「まあ、そんな格好している人より」
陽子を見ながら冗談っぽく言う。
まあ、8割くらい本音だが。
「ひっど~い」
陽子がケラケラ笑う。
「彼氏とはどうなの?」
遠距離の彼氏について聞いてみる。
「ん~遠距離だからね。電話はしているけど」
遠距離で満足できるほど陽子は大人でもない。
我慢できるほど彼氏に惚れているようにも見えなかった。
夏には別れるんちゃうか?
そうなったら俺にもワンチャンあるかもしれない。
でも今は他の女子の攻略を優先しよう。
「ねえ、俺に彼女できると思う?」
いかにも女子の陽子に率直な意見を求める。
「思うよ」
陽子はあっさりと頷いた。
「山田くんは素材がいいからね。あと、けっこうグイグイいってるらしいじゃん」
「モテるかなんて努力したかと同義なんだから」
一応褒めてくれているみたいで嬉しい。
陽子のようなイマドキ女子のアドバイスは一考の価値がある。
「俺男子校だからさ努力の仕方とかわかんないんだよね」
陽子の目を真剣に見る。
「これからアドバイスとかくれたら助かる」
陽子は笑って伝票を指さす。
「これ奢ってくれたらいいよ」




