二人のお出かけ
ゴールデンウイーク最終日、詩織は駅前のケーキ屋にいた。
座席に座って待っていると、慌てたように女性が店内に入ってきた。
詩織は、女性に手を振る。
「日向先輩!」
振り返った女性、日向は詩織を見つけて席に座る。
「ごめんごめん、遅くなってしまって」
「レポートが終わらなくて」
詩織は日向と会えるなら少々待つことなど気にしない。
「いえいえ、大変ですね」
そのあと、二人でケーキを食べながら積もる話をした。
ソフトの部員たちの進学先や、英語の中嶋先生が結婚して退職したこと、詩織の代の体育祭は白組が勝ったこと、話題は尽きなかった。
「そういえば、東京観光楽しかった?」
3個目のショートケーキを頬張りながら日向が聞く。
真面目な日向は、実は甘いものに目がなく、いくらでも食べることができる。
詩織は何で知っているのか疑問に思ったが、裕太が日向に服を選んでもらったことを思い出す。
「はい!スカイツリーと浅草に行ってきました」
「日向先輩がゆうちゃんの服選んだんですよね?」
「よく似合ってました」
裕太の服はシンプルで、詩織の好みにもマッチしていた
「ありがとう」
褒められた日向は素直に喜ぶ。
「男子の服なんて選んだことなかったから心配だった」
詩織はこの機会に日向に聞いておく
「なんでまたゆうちゃんと出かかることになったんですか?」
日向は事も無げに答える
「彼から誘われてね」
詩織は意外だった。
高校時代の日向は異性に全く興味がなく、恋愛どころかデートすら行ったことがないはずだ。
「日向先輩も大学入って変わったんですね」
詩織が感動したように言ったが、日向は顔を振る。
「ううん、あまり変わってないかな」
「男子と二人で出かけたのって初めてだったし」
そして、日向は詩織と日向自身に言い訳をするように付け加える。
「この前飲み会で彼には迷惑かけてしまったから」
そういえば、日向先輩ってお酒弱かったんだっけ
新歓バーベキューのことを思い出した詩織は日向をからかう
「ゆうちゃん男子校だから気を付けたほうがいいですよ」
日向は苦笑しながら首を振る。
「いや、紳士だったよ」
「公園で介抱してくれた」
そして、すこし真面目な顔をして詩織に聞く
「詩織は彼のことどう思っているの?」
「幼馴染ですよ」
詩織は即答した。
「小学校上がるまで一緒に遊んでいました」
「そんなに昔なんだ」
日向は確認するように詩織に聞く。
「じゃあ今は何とも思ってないわけね?」
「ん?どういう意味ですか?」
詩織は日向が言っている意味が分からなかった。
「彼に恋人ができても詩織には関係がないのね?」
どくん
詩織の心臓がはねた。
ゆうちゃんが誰かと付き合う?
全く想像していなかった。
ゆうちゃんはただの幼馴染。
異性として意識したことはない、、、はず
でも、誰かと恋人になっているところを想像すると胸が痛い
嫌だ
ゆうちゃんは私の幼馴染
誰かの彼氏にはなってほしくはなかった
「日向先輩はゆうちゃんを狙っているんですか?」
少し動揺しながら詩織は聞く
「まさか」
日向は半笑いで答えた
「まだ、そんなんじゃないよ」
とりあえず詩織は安心した。
日向は詩織とは違い部活も学部も同じ
裕太に本気になったら詩織に勝ち目はないだろう
でも、ゆうちゃんにも好きな人ができるかもしれない
男子校は女子に免疫がないって聞くし
あまり考えたくはなかったが、裕太との関係を一度じっくり考える必要があった




