この美少女は、あの少女なのだろうか
恋愛ものは慣れておらず、手探りで書いてます。
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俺はつい詩織に敬語を使ってしまった。
同年代の女子に敬語を使ってしまうのは男子校の悲しい性質である。
だが、意外かもしれないが男子校出身者は一周回って女子と喋れる。
無視されたり、陰口を言われるような経験をしていないからだ。
あくまで一周回ってである。
恋バナのような一歩踏み込んだ激しいトークはできない。
俺は気を取り直して詩織と向き合った。
それにしてもこの美少女があの詩織なのか?
確かに面影はよく残っている。
黒髪ショートのボーイッシュな雰囲気でまだ春にもなっていないのに少し日焼けをしている。
最後に会った時の男みたいな頃と系統は変わっていないんだな。
それにしてもここまで綺麗になるとは
一瞬見とれてしまったが、気を取り直して話しかけてみる。
「元気だった?同じ大学になるなんてな」
「うん…私もすごくびっくりした」
「思ったよりも頭良くてびっくりした」
「そんなことないよ。たまたまよくできただけだし」
…詩織ってこんなにおとなしく話す奴だったっけ?
なんかうまく弾まない。やっぱり二人の間にはブランクがあるらしい。
よそよそしく話が続いて少し居づらい。
すると、隣で母さんと話していた詩織のお母さんがニヤニヤしながら首を突っ込んできた。
「ゆうちゃんごめんねぇ~詩織ったらゆうちゃんがかっこよくなっているから緊張しているのよ」
「ち、違う!お母さん余計なことを言わないで!」
詩織は慌てて反論する。
ほう、俺はどうやら顔がかっこいいらしい。男子校ではイケメンかどうかなんて関係ないのでみんな顔面偏差値の判定が狂っているのはよくある話だ。
かっこいいとの誉め言葉は素直にうれしい。
まあ、友達のお母さんのかっこいいなんて100パーセントお世辞だろうが。
せっかくなので俺も詩織をほめてみよう。
そう思うと、じっと詩織の顔を見て言った。
「俺も詩織がこんなに綺麗になっているから緊張しています」
「んぇ?」
詩織は一瞬きょとんとした後、真っ赤になって俯いた。
「あら~詩織ちゃん顔が真っ赤になって~よかったねぇ~」
酒が入っているのか詩織のお母さんは、上機嫌に詩織の肩をゆさゆさと揺らした。
「詩織ね。昼間ゆうちゃんのお母さんに会って焼肉行くことになったと伝えたらすごく喜んでいたのよ~久しぶりにゆうちゃんに会えるって。そしてまさか大学も一緒だったなんてねぇ」
「お母さんそれ言わないでって言ったじゃん」
詩織が半泣きで訴える。かわいい。
すると、今度は父親たちが乱入してきた。
「おい、大学に入れば酒を飲まされるからな!今のうちに慣れておけ!」
もう酔っぱらっている父親たちが二人のコップにビールを注ぐ。
「ささ、グイっと」
この人たちは未成年に何をさせているのか。というかみんな飲んでいるけど帰りの車はどうするのか。
仕方がないのでビールを飲んだ。
「うわっ苦っ」
思わず正直な感想が口から出る。こんなのよく飲めるな。
「最初はおいしくないかもしれんな。だが慣れてくると…」
「じゃあこっちの焼酎はどうね?」
酔っ払いたちは気にすることなくどんどん酒を進めてくる。
俺と詩織は言われるままに飲んでいった。
俺は意外と平気だったが、詩織はお酒に弱かったのか、暫くするとフラフラしてきた。