ゴールデンウイーク(6)
すでにゴールデンウイークも半分が過ぎ4日目だ。
先日まで受験生だった感覚から罪悪感がすごいが、これでもかというほど遊んでいる。
今、俺は花さんと水族館に来ていた。
流石に、こんな日にもバッセン行こうなんて言ってしまうと、花さんの女性としてのプライドがズタズタになってしまうだろう。
花さんはジーパンに白シャツという中学生みたいな恰好をしていた
「おおっ後輩!あの魚うまそうだな」
花さんは相変わらずだ
「水族館で言う感想ではないですね」
冷静に突っ込む
この人面白いんだけど、男は女にあまり面白だは求めていないのだ
花さんは俺の手を引っ張って早歩きをする。
「早くしないとイルカショーが始まってしまうじゃないか」
「はいはい、行きましょうか」
イルカショーはすごかった。
5メートルくらい飛ぶイルカに圧倒されていた。
隣では花さんが子供のような笑顔ではしゃいでいる。
この人のこんな顔を引き出せるなんて、
デートの経験はほぼないのに水族館をチョイスした俺は天才かもしれん
イルカショーが終わると、花さんは満足そうに歩き出す。
途中で何かを見つけたらしく、目を輝かせて振り返る
「ペンギンと触れ合えるらしいぞ」
どうやら、ペンギンを触ったり抱っこできるらしい
「ちょっと入ってみますか」
二人で入るとスタッフの女性が案内してくれる。
「こんにちは!どうぞこちらへ」
ペンギンを抱っこして幸せそうな花さんを写真に収めているとスタッフが声をかける。
「彼氏さん写真撮りましょうか?」
どうやらカップルだと思われたらしい。
いちいち否定するのも面倒なのでそのまま答える
「お願いします」
俺はペンギンを挟んで花さんの隣に立った。
「じゃあ取りますよ!はいチーズ」
「ありがとうございます」
ペンギンのフロアから出ると、花さんが心配そうにのぞき込んできた。
「後輩?大丈夫かい?」
ああ、気づいてくれたのか。
少しほっとした
「ちょっと人酔いしまして」
「東京は人が多いからな」
「ちょっと休むか」
花さんは俺の手を引っ張って、水族館内の落ち着いたカフェに入った。
コーヒーを飲んでゆっくりするとだんだん落ち着いてきた。
「それにしても、「彼氏」だって」
花さんがニヤニヤしながら言ってくる
「後輩も隅に置けないな」
その顔に腹が立ったので、反撃する。
「そうですか、僕は嬉しかったですよ」
花さんは少し意表を突かれた顔をした
「お、おう」
そして、少し真面目なトーンで聞いてくる
「私たちカップルに見えたのかな」
「だといいですね」
こういう質問に対する模範解答がわからない
「後輩、適当に返事をするな」
花さんに案の定追撃されたので俺は話題をそらす
「花さんっていつから彼氏いないんですか?」
「春休みに入る前に振られたからもうすぐ3か月だね」
「いい人いないんですか?」
「この前もそんな話したな」
花さんは苦笑したが、そのあと少し嬉しそうな顔をした
「でも、最近バイト先の先輩といい雰囲気だね」
結構かわいいし、愛嬌があり、話しやすい
確かに男扱いされることも少なくないが
この人がモテない理由がなかった
「後輩、ヤキモチ焼いてるの?」
花さんがまたニヤニヤ顔で聞いてくる
「別に」
「でも、花さんと二人で飲みに行けなくなるのは寂しいですね」
これは本当だ。
さし飲みできる女子は貴重なのだ。
「後輩となら2人で飲みに行っていいぞ」
花さんはあっさりと答えた
「弟みたいなものだからね」
弟認定か。
まあ、そりゃそうか。
この人のタイプと全然違うし。
この人に恋をしたら、攻略するのは大変だろうな。
わかっていたことだけれど、少し落ち込んでしまった。




