ゴールデンウイーク(5)
C学園東京会があった翌日、俺は駅前にいた。
洋服を選んでもらうためにわざわざ先輩に来てもらうのだ。
10時になると同時に後ろから声をかけられた。
「ごめんね、待った?」
俺は振り向きながら答えた
「いえ、ぜんぜん」
「じゃあ行きましょうか」
そこにいたのはしっかりとオシャレしていた日向先輩だった。
ロングスカートがとてもよく似合ってっている
いつもはなんか質素な服を着ているからオシャレに興味がないと思っていたが、
まさかこんなに似合うオシャレな服を持っているとは
「急に誘ってしまってすみません」
俺がドキドキしながら言うと、日向先輩は微笑む
「ちょっとびっくりした」
「私、男の人と二人で出かけたことがあまりなくて」
まさか、こんなに綺麗でモテそうな日向先輩がお出かけの経験が少ないなんて
「そうなんですか?」
しばらく、電車に乗って東京の中心部で降りる
「えっと、服を選んでほしいんだっけ?」
「そうです、今は高校の指定の服しかなくて」
「やっぱり?その服ちょっと変だよ笑」
やっぱり変か
ようこんな服で1か月も大学に行ってたもんだ
背中にはでかでかとC学園って書いてるし
「どんな服にすればいいですかね」
「裕太くんはそのままでも格好いいから、最低限オシャレじゃなくて普通の服にしよう」
さらっと、勘違いされそうなセリフを言ったが、当の本人は気づいていない。
「なんか、すみません」
洋服選びに四苦八苦している日向先輩につい言ってしまう
「あまり、慣れてなさそうだったから」
「バレたか」
日向先輩は少し苦笑して続けた
「でも、どうして私に頼んだの?詩織とかいるじゃない」
「実は詩織とはGW中に東京観光するんです。その時に着る服が必要でして」
そう言うと日向先輩納得してくれた
「なるほど、それじゃあ詩織自身に選んでもらうわけにはいかないね」
「こんなの頼めるの日向先輩しかいなくて」
日向先輩は急に張り切る
「そこまで言われたら、しっかり選ばないと」
しばらくして俺がベンチで休んでいると、日向先輩が心配そうに覗き込んでくる
「裕太くん、顔色少し悪いけど大丈夫?」
「少し人酔いしました」
日向先輩は頷く
「気持ちはわかるよ。私も人酔いする」
「日向先輩、普通のお酒にも弱いのに、大変ですね」
日向先輩は申し訳なさそうにシュンとする
「あの時はご迷惑をおかけしました」
「まあ、記憶なくなるなら、気分悪くなった記憶もなくなるからいいじゃないですか」
適当にフォローを入れると、日向先輩はとんでもないことを言った
「ううん、覚えてるよ」
はい?
「わたし、記憶は飛ばないの」
日向先輩は繰り返して言うと、少し頬を染めて目をそらす
「裕太くんの言葉全部覚えているから」
待ってくれ
あれ全部覚えているの?
こんなに綺麗なあなたがいけないんです、とか?
こんな綺麗は人の隣でよかった、とか?
恥ずかしくて死にたい
俺はベンチに座ったまま悶絶した
日向先輩はそんな俺を見て、すこし意地悪く笑った




