ゴールデンウイーク(1)
ゴールデンウイーク初日は午後から法律研究会の勉強会があった。
新入生は6人ほどいた。京子は今日は来ていないようだ
今回は、日向先輩が憲法を教えてくれる。
「憲法と法律の最大の違いは名宛人です」
俺は耳で内容を聞きながら、目で日向先輩を追っていた。
綺麗な人だな
めっちゃ清楚だし
でもこういう人って恋愛に興味ないか、隠れビ〇チかのどっちかなんだよな
高校にサンプルがないから、清楚系の特徴は2chで把握済みである
あと、日向先輩はこれぞ大学の先輩って雰囲気がして素敵
60分の授業が終わった後、日向先輩のところへ行った
「ありがとうございました」
日向先輩は用意していた資料を片付けながら顔を上げる。
「うん、裕太くんもおつかれさま」
「でも裕太くんちゃんとノートとってた?ずっとこっち向いてたから」
ずっと、見てたのバレてたか
「とってますよほら」
ナナメに書き込まれたノートを見せる。
ノートを見ずにメモる技術は高校時代に身につけている。
「ナナメってる…」
「日向先輩に見とれていたからしょうがないじゃないですか」
勇気を出してからかうと、日向先輩は少し目をそらす
「…先輩をそんなからかっちゃダメよ」
そういって、丸めたノートでポンと頭を叩かれた。
「今日はこの後来るの?」
今日の夜は、法律研究会の新歓である。
新歓と言ってもこの前のバーベキューは新入生勧誘会、今回は新入生歓迎会である
つまり入部確定者が集まるのだ。
「はい、その予定です」
答えると、日向先輩は少し微笑んだ。
「じゃあ、また後でね」
また、見惚れてしまった
夜まで時間をつぶし、集合場所の駅前に行くと、すでに部員たちが集まっていた。
昼の勉強会では数人しか先輩も新入生も来なかったが
みんなで中に入り、酒を注文する。
おいコラ、未成年もなに堂々と注文しているんだよ
だが、俺も酒の誘惑には勝てず注文する。
「じゃあ改めまして、入部ありがとうございます!乾杯!」
俺は幸運にも日向先輩の隣の席になった。
くじ引きで席順を決めるから、決してわざとではない
「あっ日向先輩だ、ラッキー」
「裕太くん、先ほどぶりだね」
日向先輩は酒を飲んでいる。
弱いらしいから酔うのが楽しみだ。
「ねえ裕太くん、詩織とはどういう関係なの?」
とりあえず、二人だけの共通の話題といえば詩織のことだ。
「なんていうんだろう、小学校に上がるまではよく一緒に遊んでたんですけど」
「じゃあ、幼馴染か」
いや、馴染みではない
「馴染んではないです。親同士は仲いいんですど、正直再開した時はよく覚えてないかったし」
日向先輩はもうビールを飲み干していた。
弱いくせにペース速いなこの人
「ふーん、男子校って言ったっけ?」
「はい、中高男子校です」
詩織や花さんの妖しい目が脳裏に浮かぶ
まさか
いや、この人に限ってホモォ好きではないはず…
身構える俺に日向先輩は続ける
「でも、なんか女子慣れしてない?」
よかったぁ
やっぱりこの人はまともな人だ
俺は勝手にピンチになって勝手に救われた
「そんなことないですよ、今もこんな綺麗な人と隣で緊張しています」
冗談を飛ばすと、日向先輩はまた目をそらす。
「ほら、そういうとこ」
もしかして照れてるのか
意外と可愛い一面もあるかもしれない
「一周回って平気かもしれないですね」
「いままで彼女とかは?」
男子校で彼女を作るのは反逆行為だ
「まさか、、男子校ですよ笑」
男子校とは便利な言葉だ
彼女なし=年齢をこれほど正当化できる言葉は他にあるだろうか。
話題が恋愛に移ったこの一瞬を俺は見逃さなかった。
さりげなく、日向先輩の話題に持っていく
「共学ってカップルばっかりなんですか?」
「そうだね、くっつく人はくっつくかな」
そんなにカップル率が高いとは言えないらしい
「日向先輩は?」
「私は高校ではソフトと勉強ばっかりだったからね」
詩織と同じく、恋愛には興味がなかったようだ。
問題は次の質問だ。
行くぞ俺!
アルコール、援護射撃を頼む!
「い、今は?」
日向先輩はその綺麗な目で俺を見ると、少し微笑んで言った。
「いないよ」




