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04 伯爵は灌漑計画書を探します

 結局の所、その日以来私は各農地への対策に忙殺される事になりました。

 伯爵自ら肉体労働?にいそしむってどうなの……。

 と言っても、錬金術を使えるのが私だけでは仕方ありませんよね……。


 そしてそんな私を「アルシア、がんばって~」と応援してくれるのはお姉様です。

 修道服のまま、日傘を差し、シートまで敷いて優雅に座りながら私の事を応援しています。

 くぅ、何もしないで見てるだけとか良いご身分ですね!

 私とその立場を交換してくれませんかね?

 と言うか、毎日毎日私と一緒にくっ付いてきていますよね?いつ教会に行っているのでしょう?

 はぁ……。

 そのあたりの事は深く考えない様にします。


 当初は私のやる事を、胡散臭い眼で眺めていた領民たちも、今ではすっかり私の事をほめて称えています。

 まったく……。

 人間なんて即物的なものですね、自分たちの利益になると思ったら手のひらをクルクルと換えるんですから。

 この方法の良いところは地味など気にせずに、同じ農地を使いまわせる事です。

 常に肥沃な土壌を維持できますからね、休耕して土壌を回復させる必要がなくなるのです。

 と言っても、害虫や病気などの発生はまた別問題ですが、ソレはひとまず置いておいておき、問題になったら対処することにしましょう。

 なんと言っても悠長にまともな事をやっていては我が家は破たん待ったなしなのですからね。






§ § §






 その日の事。

 私は、領地管理人ランド・スチュワードのアルジーやお姉様と共にお屋敷の書庫を捜索していました。

 書庫と言っても表向きの頻繁に利用するうえに、所謂見世物としてのきちんと整理された書庫などではなく、利用しなくなった本などを置いておく、所謂閉架書庫の事です。

 そこには書物だけでなくいろんな資料が乱雑に詰み上がっており、長年まともに整頓されていない事がわかります。

 アルジーの話だと、ここで確か見た事があるという話なのですが……。

 私が積み上げてある一番上の資料を持ち上げた瞬間、もぁっと埃が舞い上がりました。

 うぁ、すごい埃。

 ここで私が何を探しているのかというと……。


「ゴホンゴホン。あ、アルシア、これじゃ無いの?それっぽいのがここにあるけど」


 を、お姉様が先に見つけてくれてみたいですね。

 私はアルジーと共にお姉様の元へ駆けつけると、その資料をのぞき込みました。


「えーと、どれどれ……ふむふむ。そうね、これだわ」


 見つけたのは古ぼけた羊皮紙に記されたわが領地のふるーい灌漑計画を記した資料でした。

 他の付属資料と合わせてみたところどうも百年以上前の代物らしいですね……。

 古すぎでしょう!

 と思ったけれど、それでも一から計画書を立てるよりずっとましに思えたので、今回はこれでガマンする事にします……。


 私の錬金術を駆使すれば、土地をたちどころに肥沃な農地に変える事ができます。

 と言っても、作物を効率よく育てるには水が必要なわけで……。

 既存の農地を肥沃な大地に変える作業を終えた私は、アルジーの記憶を頼りに閉架書庫まで資料を探しに来たのでした。

 勿論もちろん、いつものようにニコニコしながら私についてきたお姉様に手伝わせる事もわすれません!

 そしてその作戦は見事に的中し、お姉様は役に立ちましたね。


「アルジー、この計画書なんだけど、現在の地図との食い違いってあるの?」


「……これだけだとよくわかりませんが、大まかにはあっているように思えます。詳細は現地と見比べてみるしかありませんね」


「うーん、本当は現状に合わせて一から計画を作り直した方がいいんだけど……」


 そうしたいのはやまやまなんだけど、現状専門家がいないのよねぇ……。

 私は錬金術に関しては自信があるけど、このような地図と現状を見比べて灌漑計画を立案、なんてことは出来ないのです。

 もしかしたらやってやれない事は無いかもしれませんが、そのような試行錯誤をしている時間はありません。

 そしてお姉様にも勿論もちろんそのような能力はありませんし、アルジーも管理能力は別として、そのような計画を立てる力はなさそうです。

 まともにやるならば、治水や土木の専門家を雇って、最低数か月、ヘタをしたら数年かけて計画を作る必要があるのです。

 が、わが領地にはそのような時間はありません。


「一応ダメ元で聞くんだけど、アルジーに任せたらこの計画書より、いい計画書は作れそう?」


「……伯爵様がやれと言われれば努力はいたします。が、私もこのような計画は立てた事は無く、これよりも良い計画書を作る自信は、正直いってございません」


 デスヨネー、知ってた!


「当面はこの計画書で何とかするとしても、将来的には専門家が必要ね……。ソレは今後の課題としましょう」


 一緒に働いてみてわかったのですが、私への態度はともかくとして、アルジーは決して無能ではありません。

 頼んだことはそつなくこなしてくれます。

 帳簿などを確認したところ、本人の言う通り不正なども見つからなかったですし、領地管理人ランド・スチュワードとして及第点と言っていいでしょうね。

 そして今みたく、自身に出来ない事はきちんと出来ない、と言ってくれる所も良いと思います。

 出来ないのに出来ると言って、期日近くになって、やっぱりできませんでした、などと言うのが一番困るのですからね。


 それにしても仕事が多いなぁ……。

 はぁ……。

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