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11 伯爵は回想します、あぁそんな事もありましたわね

 私はミルクティーとシフォンケーキを注文しました。

 ここのシフォンケーキの味は絶品なのです!

 このお店の支店がウチの領地にも出来ないかなーなんて思っていたりしますが、ウチのような田舎に支店なんて絶望的ですよね。

 アナベラはハーブティーとラング・ド・シャと呼ばれるクッキーですね。

 ここのクッキーもとっても美味しくって、ザラザラとした舌触りとホロホロと溶けていくような軽い食感が素晴らしいのです。

 帰りに私自身へのお土産として買って帰る事にしましょう。

 私たちが注文すると店員さんは、


うけたまわりました」


 と一礼して、扉の向こうに退出していきます。

 その姿を眼で追っていた私はアナベラに視線を移すと、


「アナベラは今何してるの?私が退学した後、なんかあった?」


 そう聞いた途端、アナベラはかおを顰めると私を睨みつけてきました。


「アルシアが居なくなったせいで、私がどんな眼にあったか知らないでしょう?大変な眼にあったんだから……」


 と、おっしゃるではありませんか。


「アナベラが?なんで?」


「……あの時、アルシアの立会人になったばっかりに私までとばっちりを受けるなんてね」


「あの時って……まさかアレの事?あれはアレで決着がついたじゃない」


「……あんなことまでして決着がついた、なんて思っているのはアルシアだけだわ。言っとくけどね、多くの者はそんな事思ってないから」


 アナベラが言うアレとは、私が王国に帰るちょっと前に起きたある事件の事でしょう。

 正確にいうと、とある生徒ともめごとを起こしてしまったのです。

 もめごとって言っても私が起こしたのではありませんよ?

 相手が一方的に無理難題を押し付けて来たのですから。

 それがこじれにこじれ、最終的に向こうが決闘などと言う野蛮な物を申し込んできちゃったのです。

 勿論もちろん決闘なんて野蛮なものは非合法なんですが……、この国では罰則などはなく、平然と行われるんですよね。

 なにせ新聞などにも決闘の結果が載っていたりするんですもの。


 え、理由ですか?

 彼はこう言ったのです「私が手ずから作った傑作……付与魔法エンチャントした衣服や装身具を明らかに割の合わない対価でよこせ」って。

 まぁ、確かに私が付与魔法エンチャントを施した物品を、他人から見たら安価に譲り渡したように見える場合もあります。

 でもそれは打算あっての事、そういった者は後で便宜を図ってもらったり、実験に協力してもらったりするからこその安価なので有って、そう言った力がない者に私の能力を安売りするわけでは無いのですよ。


 でも彼はそれが理解できなかったようですね。

 一応私も条件のすり合わせは行おうと努力をしてみたんですよ?

 まぁ具体的に言うと金銭や、手に入りずらい素材などですね、それらと引き換えで譲ってあげても良いわよって。

 でも彼は「アイツにしてやったんだから、俺にもしてくれ」もぅ、そればっかりでほとほと困っていました。

 どこの世にも話の通じない輩はいるものです。


 最初はやんわりと断っていたのですが、話が通じないと見たので強硬な態度にかえました。

 そしたら、なんという事でしょう。

 よほど甘やかされて育てられたのか、すっかり激昂してしまって……。

 あまりに騒ぎ立てるものだから周りに人が集まって来たのも悪かったかもしれませんね。

 世の中には人が起こすトラブルを離れて見るのが好き、みたいな野次馬根性をもつ人たちも多いでしょう?

 勿論もちろん私もその手のは好きです。

 誰が最初に言ったのやら……決闘だ何だとはやし立てる者が出て来て、彼が乗せられてしまったわけなのです。


 勿論もちろん私がその決闘を受ける謂れはありませんでした。

 学院の規則でも決闘は禁止されていましたし、決闘を申し込まれても決して受諾しないことを強く求めていましたからね。

 でもその時の私は、彼のしつこさにはほとほと参っていましたから、このわからずやをとっちめる良い機会だと思ってしまったのです。


 結論から言うと私は彼が申し出た決闘を受けてしまいました。

 そして間髪いれず場所を広場に移して決闘する事になってしまったのですよ。

 そして私が立ち会い人に選んだのが、群衆の中にいたアナベラだったのです。

 そして私は決闘に勝って、それでこの話はおしまい、目出度しめでたし……だと思ったんだけど。


「アルシアはあの後スグ王国に帰っていったけど、あの後学院では大変な騒ぎだったのよ?貴女がボコボコにした彼は学院の理事会にも影響を及ぼすことのできる家柄だったみたいで」


「あら?彼はそんな名門出身者だったの?その割にはしみったれだったというか……見合ったお金さえくれれば学業に影響がない範囲でいくらでも作ってあげたのに」


「貴女ねぇ……。それにあそこまでボコボコにする必要あったの?」


「えぇ”-、それこそ私の不本意だったよ、アナベラもちゃんと見てたじゃん」


 そう、決着はスグについたのです。

 臆病の者の私は自慢の付与魔法エンチャントした衣服や装身具で身を固めてましたからね。

 彼の攻撃など痛くもかゆくもなんともなかったのです。

 それで彼にスグ降参するように言ったのですが……。


 それが彼の何かに触れてしまったようですね。

 負けは絶対に認めない、と言い張って執拗に攻撃してきました。

 しょうがないから私も攻撃をして、ポコポコになっても負けを認めなくて、結局彼が気絶した事によってその決闘は私の勝ちになったのです。


 ……私は何も悪くないよね?

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