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91話 屋根裏部屋の探索

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 鉢巻姿にたすき掛けをして、まるで棟梁のようなリップさんの補佐をして骨組みを作って行った。と言っても手押し車を改造するのでほとんど基礎はできている。二人であれこれ意見を交換して屋台は着実に完成していった。屋根の下にどうしても付けたいのが暖簾で、全ての要望に答えてくれるリップさんとお屋敷の屋根裏に探索に出かけた。


「埃がすごいな。小さい椅子とテーブルもいくつか持って行こう。芽衣も何か使えそうなものがあったら好きに持って行って構わないよ」


 屋根裏は埃をたくさん被って、いろいろなものが乱雑に放置されていた。剣や盾の様々な武器類が特に大量にあり、時代を感じさせてくれる。リップさんは音をたて、物を掻き分け椅子やテーブルを集めてくれた。私も暖簾になりそうな布を探す。


 天窓からの光で埃がキラキラと空中で輝く。天井裏は時間が止まった物たちで溢れていた。光の差し方のせいか、どことなくだが浮島の雰囲気を思い出す空気があった。試験の時、グーゴルさんに世界樹の女神様と交信してもらって私は転生者だと確認ができた。もっと聞きたいことが山ほどあった、浮島にまた訪れることができないかと最近は特に思っている。だが聖地に一般市民が立ちいることはとても難しいことのようだ。


『本当の始まりはあなたです……』


 あの言葉の意味は何だったんだろう。あまりにも短時間だったので、もう一度ちゃんと話がしてみたいものだ。


 布の山を掻き分け探していると一番下に見るからにな皮の貼られた宝箱を発見した。私では抱えられないほど大きく、リップさんに開けてもいいか確認する事にした。


「リップさん、この宝箱みたいなのって開けてもいいですか?」


「構わないが仕掛けやモンスターが潜んでいると危ないから私が開けてみよう」


 留め金を外すと難なく宝箱は開いた。罠やモンスターは出てこずリップさんの後ろから覗くと中は和柄の布が丁寧に畳まれてたくさん入っていた。


「女性ものの着物ですかね?」


「……私のお祖母様のものだろうな、いくつか見たことがある」


「綺麗な柄……とても品のいい方ですね」


「そうだな。もうだいぶ前に亡くなってしまったが、小柄で黒髪の綺麗な優しい方だったよ。これを使ってはどうだ?眠ったままではもったいない」


 いくつか取り出し、上から羽織った。なぜ地球ではないこの世界で和装という形がここにもあるのだろう。人の姿形で歴史が流れると自然と生まれるものなのだろうか。リップさんの家系は始祖の時代から脈々と続いてると聞くが、狩野衣や甲冑などが偶然に生まれるものだろうか。


 しかし、こんな状態のいい着物を暖簾に使うなんて勿体無い。虫食いもないしほつれもない。このまま誰の目にもつかず眠ったままなのも可哀想なくらいだ。


「お祭りの日に私が着させてもらってもいいですか?」


「それはとても嬉しいな、おばあさまも喜んでくださるだろう。センが着付けも手伝ってくれるはずだ」


 七五三以来の和装だ。綺麗な柄が多くて目移りしてしまう。本当にセンスのいい上品な方だったようだ。私の青の髪の色に合うようなものをセンさんに選んでもらおう。当日がだんだんと楽しみになってきた。


 ***


 次の日オセロットくんと出かけて湖のほとりの孤児院に着いた。氷は割れて水面が出ていたがウォーターリーパーもいないので子供達も外に出て雪遊びに興じていた。ここでもかまくらや雪像を思い思いに作っている。魔物の危険が去ったので安全に子供だけでも外に出れるようになって良かったと思う。


 私の姿に気がつくと子供達が全員で出迎えてくれた。あの子犬の亜人の双子も興奮して走り寄ってきた。姉のリカちゃんと妹のリオンちゃんだ。リップさんとクチナワさんの姿を探すようにキョロキョロとした。今日は二人とも仕事なのでオセロットくんだけが付き合ってくれている。


「お姉さんこんにちは、院長先生にご用ですか?」


 この子は最年長のトキコちゃん。ヒューマンでオレンジ色のおさげをした可愛い女の子だ。竹輪作りにも陣頭指揮をとってくれたしっかり者さん。お家の中まで案内してもらった。


 屋敷は木造の二階建てで、歴史を感じさせる洋館だったが所々に子供たちの作った絵や置物が飾られた温かみのある室内だった。院長先生は何人かの子供達に小物作りを教えているようだった。


「まぁまぁ、あの時のお嬢さん。また遊びにきてくださるなんてとても嬉しいですわ」


「こんにちは院長先生、こちらは友達のオセロットくんです」


 オセロットくんを紹介すると所作も綺麗に挨拶を交わした。


「初めまして、オセロットと申します。僕の家で作ってるもので恐縮なんですが、よろしければ皆さんで召し上がってください」


 紙袋から取り出し渡したのはお城の絵とドラゴンが描かれたロゴのお菓子の詰め合わせだった。子供達が目を輝かせて群がる。院長先生が何度も頭を下げ恐縮そうに受け取ってくれた。彼のしっかりとした安心感のある所作のおかげで掴みはバッチリだと思う。




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