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67話 採取クエスト開始

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 ラグゥサの森は実地訓練時の地形と出てくるモンスターは似ているが、木はあの時ほど大きくなく平坦な獣道が多かった。ある程度他のチームがバラけても私たちの足並みは駆け足のままだった。訓練で鍛えたものの、私の走るスピードは次第に落ちてきてしまう。


「ちょっとアンタ、足引っ張んないでよー。さっさと目的地まで向かいたいんだから」


「あ、すみません!」


 木の上を移動するミヤコさんから声をかけられた。頭上から敵の探知、地形と方向の指示をしてくれている。今日は実地訓練の時と比べ、とくにモンスターが少ない。先を行く違うチームに刈り取られた後もあるが、植物も大量の受験生に驚いているのか声を潜めている。なかなか難しいクエストになりそうだ。


「あの、ソウジくん……目的地とは?」


 呼吸は苦しかったが横を走るソウジくんに尋ねた。彼は金属バットのような棍棒を持ち、邪魔な草木を乱暴に打ち払う。たまに前方にスライムなどが現れると彼は手の平から棘だらけのボールのようなものを出し、バットで打ち放ってモンスターを倒した。


「んー? お前片言でかわいいーなぁ。野営地だよ、俺らは大物狙いだから夜から狩に出ることにしたんだ。ついて来りゃ大丈夫だよーヒャハ」


 木の上から飛びかかってきたゴブリンを見ずにバットで払い、凶器みたいな笑顔を見せるソウジくん。木に打ち付けたゴブリンに興味も示さず素材も採取しない。彼らは低級の素材を集める気はないようだ。ただ従ってついて行くだけで不安だったが、割り振られたメンバーに逆らうことなんてできない。私をチーム内に入れて裏で何を企んでいるかはわからないが、メンバーが欠けてクリアはできないはずだ。


 植物たちに来た道のマークをつけてもらっていたが、ゴブリンが出てきたので頭上のサーチに切り替えた。どうしても、どうあがいても苦手意識が拭い去れない。肌が警戒心でビクついてヒリヒリする。突然アレに飛びかかられたらきっと正気でいられない。ソウジくんがまた肩に手を回してきた。油断していて私は跳ね上がって驚いた。


「あー? 何お前、ゴブリン苦手なの? さっきまでのモンスターと警戒心がえらい違うじゃん」


「ち違います!」


「おーいクロー、こいつの弱味見つけたぞー」


 後ろを向きながら器用に走るソウジくんを睨みつけた。後方にはクロウくんがいるはずだ。私は耳を真っ赤にするだけで後ろを振り向けず、否定も肯定もしなかった。


 ゴブリンは弱いし低級モンスターなのは知っている。ミヤコさんだって素手でゴブリンを絞め殺すし、それどころかまだ一匹もモンスターを殺せてないのは私一人。かっこ悪いのは百も承知だ。早く、この試験が終わって欲しいばかりだ。


「そんな顔すんなって。スピード上げるぞ、日が暮れちまう」


「ちょっ!? わ!」


 フワッと足が浮いたと思ったらソウジくんが私を小脇に抱えた。筋肉質な片腕で拘束され足場の悪い場所も軽々と飛び、目が回るような走り方をする。横っ飛びしたりぶら下がったり飛び越えたり着地したりと目まぐるしく、悲鳴も忘れてしまった。そのたんびしがみついたり暴れたりするが拘束は解かれず、そのままの状態で森の奥へとどんどん進む。


「俺ひっつき虫って言われるくらい人にひっついてるの好きなんだけどさ、お前の魔力なんかいいーよなぁ。クロウの絶対的強さの魔質と違ってなんつうか、ありふれてるっつうか、どこにでもあるっつうか。クロウが裏で手回すなんてよっぽどな……ん、聞いてる?」


「ソウジ、代われ」


「いーやー」


 ソウジくんとクロウくんの会話が聞こえる。目の回るひどいジェットコースターのせいで私は完全に乗り物酔いしてしまった。顔を上げると草むらに突っ込むし、ゴブリンにわざと突っ込んで行くしで散々な目にあった。左右に引っ張られながら目を開けると崖の上。二人はゴチャゴチャと話しながら宙に飛び出した。遥か下の地面。信じられない光景に、そこで私は気を失ってしまった。



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