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64話 最終試験の準備

 

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 宿に戻って私の部屋でアマミちゃんと回答合わせをしていた。ほとんどが他愛ない話に逸れてしまい、女の子同士の会話はどんどん話題が枝分かれして試験期間中にも関わらず有意義な時を過ごした。


「お母さんは吟遊詩人のお父さんに着いて行っては色んなところで色んな人の話を聞いて、またそれを伝えてきたんだって。二人で見てきた世界はとても素晴らしいものだったみたい。私も冒険者になって、二人からもらった目でそれを見てみたいんだ」


「それってすごく素敵だね、お父さんも冒険者だったの?」


「厳密にはアカデミーの教会に所属する祓魔師だよ。双璧の研究所は冒険者、祓魔師と同じようなポジションみたいだね。私は人に教えを説く前に緊張しいだし、人見知りだし祓魔師は無理だなー。芽衣ちゃんはどうして冒険者に?やっぱりジョブチェンジ?」


 そもそも私は冒険者がどんな仕事かもさっき知ったばかりだ。屋敷を出て独り立ちがしたいしか考えず、流れに任せた感じもある。前世でも、母と同じ大学に通いたいと思ったがそこから先は何も考えていなかった。私はどういうふうに生きたいんだろう。


「実はまだ何にも決めてないんだ……独り立ちしたいと思ってかな」


「うんうん、その気持ちは一緒だよ!それにみんな目標があって入るわけじゃないよ。アカデミーは色んな研究機関があるから目移りしちゃって、途中で本来の目標から気持ちが変わる人も大勢いるみたいだし」


「そっか……ありがとうアマミちゃん。私そろそろ明日の準備して寝ようかな」


「了解、明日もがんばろうね。また朝に下で」


「うん!おやすみ」


 部屋に戻って明日持って行くものを再確認した。ナイフ、水筒、防寒用マント、ポーション、毒消し、携帯食糧、ロープ、持っていく予定になかった魔水の入った瓶、救急箱とタオル、替えの靴下類、筆記用具、調理器具、テント代わりになるタープ、それをクチナワさんからもらったアイテムバックに詰め込んだ。これだけあればひとまず安心だ。素材も詰め込めるしありがたい。


 実に摩訶不思議な構造だ。アイテムバックを光の下で覗いても光が指すことはなく、バックの倍ほどの長さの腕を肩まで突っ込むと、自分の腕も見えなくなるほど奥が深く底がない。温度も感じないし、側面に当たることもない。腰マントのアイテムポケットも大瓶一本までは重さもなくなり入るのだが、それ以上は跳ね返る。その分アイテムバックは吸い込まれるように全部が収まった。


 エレメントは闇の魔法だと聞いた。どこに繋がっているのかわからないが、保温性はなく時間も経過する。なので遠征の時は食品は入れる事ができるが、普通に腐りもする。また、身を隠そうとアイテムバックの中に入ってはいけないらしい。気が狂れてしまうそうだ。


 当初より荷物が軽くなったので森でも動きやすくなるだろう。万全の態勢だ。今日のように何も出来ず終わらせたくない。明日はチーム戦、仲間の足を引っ張らないよう心してかかろう。



 ***



「二人とも……」


 迎えに来てくれたオセロットくんが呆れた声を出した。宿屋の食堂で私とアマミちゃんはまた緊張でガタガタ震えていた。


「ほらほら、しっかり食べて。モンスターを仕留めれなかったら明日の昼まで何も食べられないよ」


「仕留められなかったら……」


 オセロットくんの言葉に震えが増長してしまった。なにもできなかったらどうしよう。模擬試合もボロボロだったし、今日こそはいいところを見せないといけないのに。お腹は空いていなかったが無理やり飲み込む私を見てアマミちゃんも同調されたようだが、まだ不安な顔が拭えていない。


「オセロットくんとお母さんのときはどんなチームだったの?」


「僕の時はヒューマン以外で固められたチームだったけど、それぞれの特色があって動きやすかったよ。亜人が敵を探知し攻撃、エルフはヒーラー兼状態異常で足止め、ドワーフは攻撃防御と素材の箇所や武器の手入れにも詳しかった。エルフとドワーフは普段は仲が悪いけど、みんな仕事になるとそれぞれの分担を心得ていたね」


「私のときは亜人のみだったな。学者肌のモンスターの生態に詳しい奴が目星をつけ作戦を立てヒーラーの役、私が斥候と罠をしかけ敵を挑発し指示を送り、タンクとアタッカーと鳥人族のシューターが狩る。パワーファイターだが息のあったチーム組みだった。そいつらとは今も仲がいい」


 オセロットくんとピグミさんでもそれぞれ違ったチームの組み方があるようだ。私は昨日無様な姿だったので審査員も考えあぐねたことだろう。


「不安だなぁ、ヒューマンの人は威圧的で苦手」


「チーム分けはバランスを重視されてると思うけど、ヒューマンだけで固まることが多いから大丈夫だよ。以前は関係なく組まれてたんだけど、いざこざが多くてね。貴族と庶民の間で陰湿なイジメが多くて、そこらへんも考慮されるようになったから大丈夫」


 それぞれの特性を生かされたチーム。私はなんの役を任されるのだろう……恐怖半分、期待も膨らんできた。仲間のために魔法で援護射撃、もしくは仲間を庇う盾戦士。仲間に囲まれる輝かしい自分の姿を想像してしまって緊張が吹き飛んだ。


「よし、行こう!今日の試験も頑張ろうねアマミちゃん」


 突然立ち上がり、やる気に満ちた私を見て三人は不思議そうだった。鼻息も荒く、先陣を切って集合場所まで向かった。



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