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59話 模擬試合

 

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 久しぶりに同い年の女の子と話せて心が躍った。話してみたら、アマミちゃんは少し引っ込み思案だが優しくて女の子らしい可愛い子だ。オセロットくんも交え、自己紹介もした。オセロットくんは食堂の時点で気づいていたようでピグミさんがお母さんだと念を押して紹介しても特に驚かなかった。


 四人で談笑していても、たまにチクリとした殺気が伝わる。あの男の子だ。そのたんびに反応してしまい、横目で見る私にオセロットくんが気づいた。


「さっきの奴らの所になにかしに行ったの?試合に熱中してて、気づいたときには芽衣が向こうにいたから驚いたよ」


「注意しに行っただけ」


 黒髪の子がジッと私を見ている。視線が合うとプイと反対を向いた。またイライラが戻り、オセロットくんにぶっきらぼうに答えてしまった。


「無茶するなぁ。あの中心にいる奴、議会で発言力のある大貴族の息子だよ。魔導師のエリート家系、周りもそれにあやかろうとする権力を傘に着た嫌な奴らばかり。あいつの家、あまりいい噂は聞かないから気をつけてね」


「……あの子、きっと素質が半端じゃない。隙もないしあの若さでたいしたもんだ、敵にしたくないね」


 ピグミさんが喋りながら人参の形の袋に入ったお菓子を食べている。背中から殺気を感じ、今度はゾクッとして大きく反応してしまった。どうやら相手はとんでもない人物だったようだ。頭に血が上っていたとはいえ、今更相手の恐ろしさを知って冷や汗が出た。


「あ、芽衣ちゃん呼ばれるよ!応援してるね、頑張って!」


 アマミちゃんが私の手をブンブン振り激励してくれる。試合前に嫌な話を聞いてしまい不安な気持ちのまま係の人に番号を呼ばれてしまった。


 狼狽えたまま私は体が硬くなり、角ばった歩き方で向かう。オセロットくんが慌てて追いかけてきた。


「芽衣ーーー盾!盾忘れてる!」


「あ、ごめん!ありがとう……」


 間抜けすぎる、大事な盾を忘れるなんて。オセロットくんもハラハラしてることだろう。何故私はもっと周りに安心感を与えてあげられないのだろう。情けない。


「落ち着いて、訓練を思い出すんだ。攻撃を塞ぎながら盾からチャンスを伺い、魔法で相手を場外に出すこと。忘れないで」


 不安な顔をした私にオセロットくんが腰を屈め、目線を下げると頭に手を置く。


「芽衣なら大丈夫」


「うん」


 オセロットくんの目がまっすぐに私を見る。ビー玉のようでとっても綺麗だ。不安に支配された頭が少し晴れ、思考がハッキリしだした。なんだか闘志に燃えてきた。フィールドに上がると盾と杖を構えた。


 向かい側から相手選手がゆっくり階段を上がってきた。暗紫褐色の艶やかな髪、上半身は人で腰から下が青みがかかった細長い蛇の尻尾、神話に登場するラミアーそのままだ。


 よく見たらさっき黒髪の男の子の横にいた取り巻きの一人、蛇の亜人の女の子だった。


 伝説どおりの絶世の美女は真っ直ぐな長い髪を翻し、蛇の体を上に伸ばす。審判が開始の合図を出すと、見上げるほど背が高くなった彼女は私に覆いかぶさるように影を落とす。



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