表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/217

32話 ブルードラゴン

 32


「……ブルードラゴンの子供だな、衰弱してる。じき死ぬぞ」


 クチナワさんがやれやれと言うように追いかけてきてくれてた。男性は息も絶え絶え引き上げられると、ずぶ濡れで私たちに向かってきた。


「なにしやがんだこのガキャぁ!」


「ごごごごごめんなさい!咄嗟だったんです!」


「よせ、私の前で暴力は許さん」


「し、司祭様!?………で、ですがアイツはうちの商品を奪ったんです、商売の邪魔をされては黙っておれません!」


 オセロットくんは男性に指摘されても魔物の前からどかなかった。


「だから今は手持ちがないんだ!必ず払うからそれまで看病してくれててもいいだろっ」


「それが面倒くせーんだよ、魔物なんていくらでも換えがきくんだから他を買えよ!そんな死に損ないの為に積荷は減らせねぇ、処分しねーと捨てられない決まりなんだ。だから素材だけでも採取するんだっつうのに邪魔しやがって」


「なら私が払います!先ほどのご迷惑料も含めて……おいくらですか?」


 ポケットから金貨を取り出す。男性は舌舐めずりをする。


「へへ、ブルードラゴンだ金貨五十枚はもらおうか」


「高い。素材にすると言っていたのだから金貨十枚で充分だ。子供のドラゴンからは大したものは取れないだろう」


 クチナワさんを睨みつけてチッと舌打ちした男性は、金貨をぶんどると肩を怒らし私たちに背を向けた。悪態をつきながら去る男性を見送ると、オセロットくんは申し訳なさそうな顔で私たちを見上げた。


「ごめんな、芽衣。司祭様もありがとうございました……僕、変わってるって言われるんだけどモンスターが虐げられるのが見過ごせないんだ。人に馴らす為に極限まで弱らせられて、それでも反抗してたから殺される所に出くわしちゃって」


「そうなんだ……クチナワさん、このドラゴン助かりませんか?」


「無理だろう、どうやって弱らせたのかわからん」


 ドラゴンに近づき膝をつく。感情を読めないだろうか、この子に意識があればいいが……集中してドラゴンの心を探る。


 〈……寒い………空腹………消え入りそうだけど確かに感じる……生きたい〉


 ドラゴンの気持ちが入り込んでくる。この子はまだ生きていたいんだ、今にも消えちゃいそうだけど……私は杖を握り、イメージを強く持ち魔法を発動する。


「芽衣?……なにしてるの?」


「あ、寒そうだったから暖めれないかなと思って」


 火では表面が焦げちゃいそうだったので赤外線ヒーターのような光の放射をイメージした。杖先が赤くなっても浮島の時のように枝が焼け焦げたりはせず、イメージした通りの魔法ができた。


 扱いやすい杖があって助かった。赤い光がドラゴンを照らす。見る限り怪我したところは見受けられない。


「変わった魔法じゃないか。火魔法でないのにほんのり温かい。光魔法にこんな使い方があったとは……お、動いたぞ」


 見物人が出来ていて、バンダナを巻いた若い女ドワーフが声をかけてきた。ブルードラゴンは翼をピクピクと動かし顔をあげた。


「少し元気になったかな?この子何を食べるんですかね?」


 ドワーフの女性がフフンと得意げに腰元のバックを探る。紙の包みから出てきたのは浮島で見た、赤色したあの毒性のスライム。


「ブルードラゴンはこれが好物さ」


 ドワーフの女性はニヤリと笑った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ