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27話 エルフの街名物

 

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 クチナワさんは追いつく前にまた違う店に入って行った。キノコのマークの突き出し看板だ。急いで後を追い、店内に入るとエルフのウェイターにかしづかれた。高級そうな店だ。


 川沿いの眺めのいいテラス席に案内され席につく。足を組み、風で髪をなびかせるクチナワさんは平気な顔をしている。涼しげで、水面のテラス席に座る姿は思わずため息が漏れそうな程優美な佇まいだ。


「クチナワさん、さっきのお店のお金……」


「気にするな、昨日の詫びだ」


「でも……魔石って高いんですよね」


「たいしたものじゃない。あとこれで目ぼしいものがあれば買うといい」


 ジャラっと先ほどと同じ小袋を出された。中身を覗くと金のコインがたくさん入っている。お金のようだ。


「貰えません!お金なんて」


「貰いたくないなら貸しだ。必要なものを買い、早く屋敷を出ろ」


「でも外で働くには種族がわからないとダメだと」


「アカデミーに入れ。最初は皆、冒険者からのスタートだ。勉強もでき、クエストで金も稼げるギルドだと思えばいい。本来は研究機関兼、教会の総本山だ。冒険者も立派な職種だが、得意分野を活かす専門職へとジョブチェンジをするためにもある。アカデミーにいる間は住む町も決められていない」


「そうなんですか!?それは、知りませんでした……」


「クエストによっては危険は伴う。だからこの金で装備品を整えろ」


「でも…………いえ、わかりました。ありがとうございます、ありがたくお借りします」


 迷ったが、ありがたくお借りすることにした。十七歳にして借金ができてしまった、相手は毒を盛るクチナワさん。だが優しいとこも見えてきた。屋敷の主人はエルフかどうか調べてくれとしか言わなかったはずなのに、ここまで面倒を見てくれる。絶対、大事に使おう。



 料理が運ばれてきて話は中断された。ラグゥサはキノコが名産らしく、エルフの街では水キノコというプルプルとしたキノコの料理が多く出た。野菜スープに入った茶透明な水キノコを噛めばコンソメスープが溢れ出て、二種類の味を楽しんだ。エルフ料理は見た目も華やかで、味付けはとても繊細だった。


 水面を超えて来る風は優しく、しばしの穏やかな時間を過ごしていた。


「この後は教会に行く。道中買い物をしてもかまわん」


「教会へ?」


「あぁ、本来の目的を果たしにな」


 そういうとクチナワさんは脈絡もなく突然店を出て歩き出した。わたしも慌てて小走りで後を追う。



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