表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/217

21話 毒

 

 21



「これは、芽衣の魔道具か?」


「…………答えたくありません」


 妖しげな視線から目を逸らす。本当は知らないので答えられないのだが、精一杯の虚勢だ。この距離感に心臓がまた早鐘を打つ。クチナワさんは不敵な笑みを浮かべる。


「これがどんなものか教えて欲しいか?」


「え……?」


「教えて欲しいなら茶にしよう、テラスへ」


 返事を待たずクチナワさんはスタスタと歩き出し、図書室の出口へ向かった。ドアが外側から勝手に開き、部屋の外では執事のセバスさんが一人待機していた。見慣れない客人を見張っていたのだろうか、少し気を鎮めることができた。



 美しく整えられた中庭のテラスで、センさんがハーブティーとアフタヌーンスタンドを用意してくれた。センさんはチラチラとクチナワさんを盗み見ると、素敵な方ですねと耳打ちしてご機嫌で立ち去った。


 確かに眉目秀麗な男性だ。静かにお茶を飲む姿は英国風な庭園に、絵画のようにマッチする。だが中身はストーカー気質で得体が知れない。横目で顔を覗いても、何を考えているか全くわからなくて油断ならない。


「いいメイドだ。紅茶の淹れ方を熟知している」


「ええ、そうですね」


 ぶっきらぼうに短く返すと、また沈黙が長く続く。ネックレスのことを教えてくれるのではなかったのか、あまりに沈黙が続いたので機嫌を損ねたのかと不安になった。


 彼はおもむろにフルーツに手を伸ばすと無言であーんと口を開け、食べろと私に差し出してくる。


 鑑定して見るまでもない。なぜ性懲りもなく私に毒を食べさせようとするのか。苛立ち、平静を保とうとするが心臓がドクドクと嫌悪感を刻み、不規則に鼓動する。触れた首がまだ熱い。


「毒入りですよね、絶対食べません」


「いや、解毒剤だ。さっき触れたとき少量の毒を流し込んだ。君は本当にエルフじゃないのだな……」


 その瞬間視界が傾き、景色が回った。心臓が強く胸を打ち、酸素を欲して呼吸が荒くなる。体の力が抜け、目が回る。


 ネックレスが肌に触れるとすごく熱い。すでに良くない状況だがさらに良くないことが起こる予感がする。空気が、足りない。


 私のボヤけた視界にクチナワさんが映った。強引に口をこじ開けられラズベリーを放り込まれた。


「つらかっただろう……ポーションの効果も入れてある。削られた体力も復活する」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ