14話 異世界の街
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長い並木道を抜け、門を出ると石畳の街に出た。以前、薄墨の上空から見た街の様子は、首都のラグゥサほど大きくないが密集し、統一されたオレンジ色の三角屋根と塔が見えた。街は三階建ての木枠の家が等間隔に立ち並び、街灯が淡く輝き異国感が漂う。
目的地に進むにつれ屋台が増え、花びらや花火を上げる者もいた。建物から建物へ、巻貝の絵のタペストリーが垂れている。リップさんのウィンクル家の紋章らしい。
「あ!ドワーフのメープルキャンディー!芽衣、あれ飴が武器の形してるんだぜ」
馬車から見える祭りの様子に、イアソンくんも私も興奮した。彼が指差す屋台に、背が低くずんぐりした体型のドワーフが背をかがめたお客さんに商品を渡している。その横で背の高い美しいエルフが、咲いては散る不思議な花冠と花束を売っている。反対の道には音楽を鳴らし、空を舞い踊る亜人の楽団。私たちは交互に、キョロキョロと左右の窓にへばりついた。空想の世界の住人がそこかしこにいる。
「すごいですねリップさん!」
「挨拶が終わったらあとで街にでよう、種族によって得意分野が違い、売りものも様々だ」
「本当ですか!楽しみです」
街の中心についたのか、円形の広場に出る。人が集まっており、女性の彫刻が据えた噴水から空にかけて虹が出て、広場を煌々と照らしている。
どこからともなく花びらが舞い、祝賀に訪れた人が馬車に殺到しないように、騎士の人が警護に来てくれた。塔がそびえる大きな建物の外階段に上り、リップさんが振り向くとひときわ大きな歓声が広場を埋め尽くした。手を上げ答えるリップさん。街の人にとても愛されているようだ。
「リップさんって本当にすごい人なんだね……」
「当たり前だろ!現存する聖騎士の最年少だからな。最上級職に就いたから、議会にも進めるんだ。お館様も聖騎士から議会の人になったんだって!みんないろんな街の冒険者や魔法使いだったり、鍛治職人でもなれるって父さんが言ってた」
イアソンくんは得意気に説明してくれた。リップさんはこちらに戻り、外套を預けると三人で煌びやかな会場に入った。




