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101話 カジノのギャンブル

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 セバスさんが華麗な手さばきで球を投げ入れ転がす。テーブルにはすでにいくつかのカラフルなチップが置かれていて三人は追加を置いて行く。


「ノーモアベット」


 セバスさんが静かな声を出すと、みんな押し黙って球が転がる先を見つめた。なぜか私も空気に押されてゴクリと生唾を飲んで見守った。今にもザワザワザワという効果音さえ流れてきそうだ。球はゆっくりと赤の30と書かれたスペースに収まった。


「チッ外したか」


「私は少し取り戻しましたよ、クチナワさん」


「あ、芽衣おはよう」


 にこやかにオセロットくんが笑いかけてくれた。リップさんとオセロットくんの間にある椅子を勧められ私もルーレットの前に着席した。オセロットくんが肘をつき流し目を送ってくる。


「おはようオセロットくん、昨日はありがとうねお疲れ様」


「フフ、覚えてないの? 昨日のこと」


「え!? 私お酒貰ってからの記憶が曖昧で、なにかしちゃった?!」


 口の端を上げニヤつくオセロットくんの表情から不安を煽られた。一体なにをやらかしたというのだろう、肩を揺すってもなかなか教えてくれなかった。


「もう大変だったんだから、笑ったり泣いたり眠ったあげく、部屋まで抱えて連れてったんだけど皺になっちゃうって言って帯も上衣も脱ぎ出すし……あ、僕一枚脱いだところしか見てませんって、服をハンガーにかけてすぐ退散したんで」


 リップさんとクチナワさんが静かに立ち上がったので、オセロットくんが二人に手のひらを向けて制止した。いくら友達の前でも男の子の前で着物を脱ぎ散らかすなんて、失礼にもほどがある。また恥ずかしさが込み上がってきた。


「おい小僧、私とリップはもう芽衣のパンツまで確認しているからな。脱ぐ仕草も捨てがたいが」


「ああ、全くその通り……あ!違うんだ芽衣、見てないから今朝のはだけた瞬間なんて見てないから!」


 顔から火が出るほど恥ずかしかった。お酒で乱れたことも、肌着まで見られたことも大変な失態だ。嫁入り前なのに、母が聞いたらきっと怒り狂って叱られただろう。クチナワさんとオセロットくんが自慢げにその時の状況を事細かに口にし、横で必死に弁明してくれるリップさん。震えながら羞恥心に耐えるしかなかった。


「芽衣さまも、よろしければルーレットに参加なさいますか?お金は賭けていませんし、置く場所さえ理解すれば簡単でございますよ」


「そうだな、芽衣も参加しよう!楽しめば忘れるはずだ、な?」


「どうですか芽衣さま、ここはなにか賭けるというのは……例えば一位になった者のいう事を皆さん一人づつ聞くなど」


 セバスさんの言葉に反応し私は立ち上がった。もしかしてさっきの会話からかばってくれたのかもしれない。さすが長年執事をされてきただけ、気遣いに関しては一流だ。だがギャンブルは運、もうこのさい当たって砕けろだ。


「やりましょう! 私に失うものはありません」


「悪くない、もし私が勝ったらシスターの服を着させて一日私がこきつかってやる。何をさせても文句は言わさないからな」


 エントリーNo.1クチナワさん。隠すことなく邪悪な笑みをして一番に名乗り出た。神のご加護もありそうな司祭の彼はかなり強敵そうだ。一番負けたら恐ろしいジョーカータイプ。


「へぇ芽衣って意外とギャンブラーだね、じゃあ僕が勝ったらデートでもしてもらおうかな」


 エントリーNo.2はオセロットくん。可愛らしい顔と裏腹に敏腕ビジネスマンの顔を持つ彼は一番の策略家。常にお金の駆け引き上手な彼は一番の強運を併せ持つキングタイプだろうか。



「あ……私は」


 エントリーNo.3はリップさん。彼はなにを考えついたのか、いきなり顔を真っ赤に染めた。数々の死線をくぐり抜けてきた彼の運と実力は厳しい軍の世界でも特出した存在なはず。絶対不滅のエースタイプ。


 そんな彼らと戦う私は平民代表と言ってもいいだろう。だが団結すれば市民だってとても強い。私の名誉のための勝負だが、全世界の平和のため戦う勇者の気持ちだ。それかほとんど捨て身の覚悟に近かった。


「それでは十回のち手持ちのチップが多い者の勝ちとします、よろしいですかな?」



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