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100話 プレイルーム

 

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 眩しい朝日が瞼の裏に刺さる。目を開けるのがとても気だるい。祭り帰りに酔ってしまい、何とか部屋にたどり着いたまでは覚えているが記憶が途切れ途切れだ。シーツに潜りモゾモゾと体を丸める。今日はなかなか起きる気になれないが、居候の分際でお昼まで寝るなんて無礼者だ。


 体に鞭打って上半身を起こしてみても頭がハッキリしない……私は魔水はあまり強くないらしい。お風呂にも入らず長襦袢のまま寝ていたようだ。だが帯や着物は綺麗にハンガーにかけていてホッとした。


「起きたか、みっともない格好だな。さっさとシャワーを浴びて来い」


「あそうですね、お風呂……」


 ボサボサ頭のまま乱れた長襦袢を引きずり、お風呂に向かおうとして足が止まった。


「クチナワさん!? ま、また勝手に部屋に入って」


 足を組んでベッドに腰掛けていたのは、またしてもクチナワさんだった。涼しげな顔をして櫂を膝で撫でている。


「朝からやかましい奴だな、肌掛けがずり落ちてるぞ。それは誘ってるのか」


 ハッとし、慌ててバスルームに駆け込んだ。文句を言ってやろうと、はだけた前を直しドアを少しだけ開けるとクチナワさんの整った顔が目の前にあった。素早い動きで指を隙間から入れてきて、強引に中に入ってこようとする。なんてシャイニングな光景だ、背筋が凍るほど怖い。


「中に入れろ」


「ヒィッ! れ、レディの部屋に朝っぱらからなにしてるんですか!」


「そんな乱れた姿で何がレディだ馬鹿者、お前が二人っきりになりたいというから来てやったんじゃないか」


 確かに昨日クチナワさんにそうお願いしたが、こんな寝起きから許可なく忍び込むようなやり方ではない。渾身の力で押し返しているとドアが軽くなっていきなり閉まった。外から誰か加勢してくれたのか、低い声で話し声が聞こえその間に私は心拍数を下げる努力をした。


「目を離した隙に何をなさってるんですか? クチナワさん」


「芽衣を起こしにきただけだ、すけべな格好で誘ってくるもんでな」


「!? ささささ誘ってませんよ!」


 ドアを開けて思わず叫んだ。クチナワさんの胸ぐらを掴むリップさんと目が合った。


「ほらな見ろリップ……」


 クチナワさんとリップさんが掴みあったまま目線だけをゆっくり下げる。リップさんの顔が一気に真っ赤に染まり固まった。目線に釣られて自分の体を見下ろすと一本の帯でかろうじて留められていた帯が、激しく動いたことによりハラリと落ちて前が全開になる。私は慌てて布で隠しドアを勢いよく閉めた。


「すすすまない! み見え、見えてないからな芽衣!」


「ハッ、何をいうんだリップ。おい、ダサいパンツを見られたくらいどうってことないだろう。もう一回出て来い、蹴破るぞ」


「ななな何いってるんですかクチナワさん!? い行きますよ。部屋から出るからな、大丈夫だぞ芽衣!」


 呼吸を整えようとしているとドアの外の押し問答が収まり、静かになった。


 恥ずかしすぎて泣き出したい気分だ。わざわざ見せに行ったような自分の行動に頭を叩きまくって反省した。パニック状態の頭を冷やそうと一人で喚きながらシャワーを勢いよくかぶった。


「……絶対見られた」


 自分の胸を見下ろすと、さらに絶望的な気分になる。赤面したり青くなったりして長いこと私はシャワーから出ていけなかった。意を決して食堂に向かったが二人の姿はなく、私と違ってナイスバディなセンさんが朝食を運んできてくれた。


「お二人はプレイルームにいらっしゃいますよ」


「プレイルーム? そんな部屋が?」


「ええ、先ほどオセロット様もいらっしゃったのでそちらにご案内致しましたよ」


 このお屋敷にお世話になってだいぶ経つが、そんな部屋があったことさえ知らなかった。広大なお屋敷だからまだ入ったことのない場所も沢山ある。道案内してもらってプレイルームという部屋に連れて行ったもらった。金の装飾の豪華な扉を開けると、そこは赤い絨毯の広がるシャンデリアの大きな部屋。静まり返ったプレイルームにみんなの姿があった。


「みなさん……」


 呆れた声が出た。モダンな室内はちょっとしたカジノのようになっていて、セバスさんがディーラーを務めるルーレットに三人が渋い顔をして座っていた。

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