噂ノあの子は
とても仲の良い双子の忍足兄弟がいました。兄の方は明るく真面目な性格だが、恋愛面に関してはモテるをいいことに来る者拒まずの晴空。弟の方は根は真面目だかとてもやんちゃ坊主の明るい子。そして恋愛面に関してはモテる兄に間違えられることが多く、そういった恋愛ごとには消極的な、晴飛。そんな割と違いのある2人だけど顔だけ見れば、2人は似ているために1日1回は間違えられて告白されること。
「あの!晴空くん好きです、付き合ってください!」
「......ごめん、俺、晴空じゃなくて晴飛。」
「...あ、ご、ごめんなさい!」
謝って慌てて去っていく女の子。よくある事だ。確かに顔は似ているだろう。あと、背格好とか髪型とかは何となく似てるだろう。でも性格は違うし、何を間違えれば俺達が一緒になるんだ。と晴飛は思う。
「あーあ。今の子めちゃくちゃ可愛かったのに。なーんで振っちゃうかな?俺のフリして告白受けてくれれば良かったのに」
「...はるく...お前...。つーかそんな嘘で受けられるか。」
「...はるひは、恋愛ごとには疎いな。恋愛なんてノリでいいんだよ。俺もさっき告られて付き合うことになったー!晴飛と間違えてたけど、俺が晴空だって言ったけど付き合うって言うから」
晴飛にとっては晴空の恋愛ごとには理解が出来ない。今だって衝撃的なことをサラッと言った。
「...はぁ?!え、付き合ったって昨日の子はどうしたのさ?!」
「...付き合ってるよー。今3人と付き合ってるかな?」
「...はるく...お前なぁー。俺は知らねぇからな。痛い目見ても。」
ことごとく振られて痛い目見ても晴空のことは晴飛は知らない。むしろ関わりたくない。巻き込まれそうなのは目に見えているが、関わらせないで欲しい。こんなにも違う兄弟なのになぜ間違えるのか。それはただ俺たちのことを顔だけしか見ていないからだろう。
「はるぴのその真面目なとこ俺は好きだぞ♡」
「...キモイ。お前に告白されるとかマジ無理。てかはるぴとか呼ぶな。」
「はるぴー。キモイはないだろー仮にも兄に向かってー」
「...キモイもんはキモイ。はるぴは辞めろ、お前にはるぴと呼ばれたくない...」
「はるぴー!!はるくん!」
晴空に言ってる傍から誰かに呼ばれるイラッとしたが呼ばれた方を晴空とみて怒りが静まった。呼び主が幼なじみの苅谷優依だったからだ。こいつに呼ばれるのは呼ばれ慣れている。たいていこう来る時はあまりろくなことは無いと思う。
「...なんだよ?」
「先生が呼んでたよ。なんか両方?」
「...ろくな事じゃないだろ」
呼ばれたと言う通り、行ったところでろくな話ではなかった挙句の果てに互いの担任から頼まれごとまでしてしまった。先生達のあいだで1番手っ取り早く教室に届けられると先生が揃ってたいした用事もないのに呼ぶことが多い。2人としては大抵のときはできれば行きたくない。2人が呼ばれる時には必ず頼むための口実なことが多いからだ。
「...ったく、またろくな話じゃねぇ。」
「...あぁ、これ頼むための口実だ。わざわざ優依に探させてな。」
「全くだな。口実作りに優依も利用されてんだろ。俺らと1番仲良いのあいつだし。」
クラスは、優依とも違うし、おっしー兄弟も違う。見事に3人とも別々のクラスだ。だが、クラスが違うからと言って一緒にいないことはない。休み時間はだいたい晴空のクラスに集まるか、屋上や中庭などあんまり人の来ないところで休み時間を過ごしている。優依もよく来るが最近はなんでもクラスにとても仲の良い友達ができたらしい。その子がどんな子なのかはまだ教えないと言うが、晴空達としては、優依の兄にいい報告が出来るので嬉しい。
晴空達にとっても優依の兄は兄貴的な存在で良き相談相手になったり、幾度となくお世話になっている家族のような存在。優依の兄、爽汰は、仕事帰りとかよく話がしたいと忍足兄弟に連絡してくる。それだけ優依のことを心配している。もちろん近状をと忍足兄弟から話すと連絡とることだってある。
「晴空ー。晴飛ー、久々だなぁ!」
「爽兄、お久しぶりです。」
「...それにしてもお前達ほんと似てるなぁ。」
「...どっちがどっちだかわかってます?」
よく間違えられることで晴飛は気になるようになっていた。いくら間違えたことのない人でも。久々なら尚更だ。
「...もちろん。お前が晴飛で、こっちが晴空だろ?」
「...さすが、爽汰。」
「当たり前だろ。お前達は見りゃ分かる。で、今日はどうしたんだ?」
2人の特徴はある。いくら似てるからと言っても、晴空の方は目の下のほくろが右にあり、晴飛の方は左にある。晴空の方は右利きだし、晴飛の方は左利き。特徴の違いは山ほどある。
「あぁ、優依の事だ」
「...優依か。最近どうなんだ?」
「優依な、あいつクラスに女の子の友達ができたらしい。まだ詳しいことは教えてくれないんだけどな。」
「そうか。優依にもお前達よりも仲良い子が出来たんだな。」
兄の爽汰は、嬉しそうに笑った。大好きで大事にしている妹に幼なじみの2人以外に友達ができたことが何より喜ばしいことだ。いままではクラスの中で愛されるアイドルのようにクラスの子達と打ち解けてはいたようだがこれといって仲の良い友達が双子の晴空達の他に特にいなかった。だから兄は心配していたのだ。女の子の友達がいないのは何故だろう。と余計に色んなこと考えすぎてしまっていて。でも晴空たち兄弟に聞く優依は心配のないくらい生き生きとしていて聞く度にホッとしてる。そして実は爽汰は妹の優依だけでなく、晴空や晴飛のことも心配して気にかけている優しき兄貴だ。
「...そうだ爽兄からも言ってくださいよ。晴空の奴、今3股してるらしいんですよ。辞めて欲しいんです下手すりゃ俺にも被害来るから」
「...晴空〜。そりゃダメだろ。女の子は1人に絞りな?女は怖いぞ?痛い目見るのはお前だぞ。」
「...晴飛お前。ったく。爽汰みたいに一途に優依のことを思ってるみたいに俺が思ってられねーんだって。」
「...え?お前なんでそれを...」
バレていないとでもおもったのだろうか、きょとんとした顔で晴空に問いただした。
「いや、爽汰。お前の一途さは見え見えだって。」
気が付かない方がむしろおかしいのではないかと言うくらい丸見えな恋をしている。やっと自覚でもしたのだろうか、顔がみるみる赤くなっていく。以外にも年はいっているが、こういう所はまだ幼く見えてしまう。
「...まじか...優依は?」
「優依は気がついてねーよ。優依も爽汰のことを一途に想ってるけど」
「...そ、そうか。」
見破られて恥ずかしいことはそうそうない。こんな恥ずかしいことは他にないと爽汰は思っていた。
さて、男どもの知らないところで優依はその例の仲良い女の子と親しさが増していた。その女の子については本人もよく分かっていないが、晴空達と何かしら関係があるかもしれない女の子。名前は大橋晴菜という。優依の親友ではあるが、晴空たちは何もわからない。優依がその晴菜を探りながら、気になる晴空晴飛との関係性とか似ているところを探っているがまだ関係性は分かっていない。
あの最近優依が友達出来たらしいという話から1週間。優依もそこそこモテるし人気もある為、優依とよく一緒にいる子なんて直ぐに話題になる。あれから1週間でもう話題になり、優依の仲良い子が「晴空、晴飛と似てる、」そんな噂が耳に入ったのは噂が広まってすぐの事だった。教えてくれなかったが、その噂でどんな子かは検討がつく。性格は二人とも似ていないから顔が似ているということであろう。
「...優依、仲良くなった友達と会わせてくれよ」
「...なんだ、もう噂聞いちゃったのか。やっぱ晴ちゃんの言う通りだったか...。」
「...はるちゃん?」
2人は噂を耳にして早々に会わせろと優依に頼んだ。周りが似ているというその子が気になって仕方がない。何が似ているのか。
「...そう、晴ちゃん。その噂の子は大橋晴菜って言うの。だから晴ちゃん。」
「...もしかしてそのはるって字は俺らの“はる”一緒で晴って字なの?」
「うん、その晴に菜の花の菜で晴菜。晴ちゃん呼んでくるよ今。」
まさか、晴という字が一緒でしかもみんなが似ていると口を揃えて言う、その噂の子は絶対なにか2人と関係があるに違いない。一刻も早くその真相を確かめてみたい。その思いでいるのは、幼なじみである優依には言葉にしなくてもつたわったらしく直ぐにでも会わしてくれるらしい。優依が呼びに行ってる間は無言だった。でも考えていることは一緒だし心で会話もなんとなくしている。しばらくして優依が連れてきた、女の子をみて晴空晴飛はお互いの顔をみて見比べ似ていることを確証した。
「...似てる...確かににてる。」
「晴ちゃん、こいつらが晴飛と晴空。多分似ていることにしか興味ないし、その理由の方が気になっているみたいだけど。」
「...そう...はじまして大橋晴菜です。えーと、大橋家の養子なので両親とは繋がりがありません。本当の親は誰かはわからないです。」
晴菜の自己紹介に、晴空も晴飛も興味あり、不思議な関係性でもあるのかとそれ以上のことも知りたくなった。
「...俺らは、ずっと双子って聞かされてて他に兄妹いるなんて知らないけど気になるな!」
顔が似ているというその事実に3人とも気になって仕方がなくなるそんな一度気にしだしたら解決するまで気になるそんな所までそっくりであることにどんどん興味が湧き、まさか兄妹なのではないかと疑問に思う。
「......よし、晴菜ちゃんうちに来い。そしたらうちの親の反応で何か分かるかもしれない」
「...確かにそうだなこい。」
「...うん。私も気になるからそうするわ。」
そうして晴空晴飛の家に晴菜が来る日の計画が始まった。晴菜は義理の両親である親に晴空たちの家に行くことを話、反応を伺ってみたり鎌をかけて探ってみて、晴空晴飛もあえて彼女というていで名前を強調してわざと話してみたり様子を伺いながら探ってみた。
「...どうだった?」
「...反応は何となくあるけど、分からなかった」
「そっか、こっちもそうだった、」
「...まぁ、とにかく決行日は今日だ。よろしくな。」
探りを入れてから1週間ほど、今日が家にくる決行日。少しドキドキした面持ちで、晴菜と優依も連れお家に帰る2人。ただいまと威勢よく挨拶をし、気が付かせるようにいうと出てきた母親に晴菜のことを晴飛の彼女だと嘘の紹介をして家に入った。その紹介には一瞬納得したように見えたが、次の瞬間顔を曇らせた。それで何となく答えは見えたが、それ以上何も言わないので晴空晴飛の部屋へ。
「...あれは可能性が高いな。」
「...あぁ。あの反応は俺らと晴菜ちゃんが兄妹かもな。」
反応をみて確認を得た、3人はしばらくしてからみんなで何気なく何も知らないふりをして少し晴飛と晴菜は彼女っぽく振る舞いながらリビングへいき、おやつないー?などと適当な口実でリビングで遊ぶつもりですみたいな風にやってきた。
「...あるよ、今出すね。」
作り笑いを浮かべられる。そう分かるくらいの笑顔。持ってくる口実にあっちも何か話でもしてくれるだろうか。そう考えながらアイコンタクトで考えてることがわかる3人はお互いに目を会わせて頷き合う。こっちからはあえて聞かない。きっと言ってくれるそう思って。そしておやつと飲み物を持ってきた母親は何気なく4人の座る反対側の席に腰掛けた。
「...晴菜ちゃんだっけこんにちは。」
「こんにちは。」
「...単刀直入に言うわ、晴飛の本当に彼女?だとしたら諦めなさい。あなた達は結ばれることは決して許されないわ。」
確定した、そう3人は思った。俺(私)たち3人は兄弟であると。分かっていても少しとぼけて聞いてみようと考えた晴菜は訪ねた。
「どうしてですか?私に何か不満でもあるのでしょうか?」
「...違うわ。ごめんね、晴菜...晴菜ちゃんが晴飛と晴空の兄弟だからよ。訳あって晴菜ちゃんだけ大橋さん家に養子になってるけど3人が三つ子なのよ。」
「...母さん、俺たち本当は付き合ってない。真相が知りたくて嘘ついた。」
語られた真実に納得した3人はやっぱりそうなんだと思うと言わせるためのこの作戦に終止符を打つために真実を語った。
「...そう、だから少しわざとらしい振る舞いだったのね。」
わざとらしいことは気が付かれていたようだ。それでも本当に付き合おうとしていたのなら止めなければならないその思いで話したのだろう。こうして知った真相を3人は今まで知らなくて遊べなかった分、この事実を気によく遊び、時に考えていることを読み解き、お互いを気遣ったりそれから楽しい日々を送るようになった。先生の頼み事に関しては晴菜が実は兄弟だったなんて公表したらきっと頼まれるので適度に知らないふりしながら先生達に気が付かれないようなそんな距離を保ち、毎日を送っている。




