海よりも青い場所へ
広い海のただ中で
白い泡ゆらり浮かんでは消えていく
波に靡く船一人
声にならない静かさが馴染んで
夏の空を見たいと
まだ遠い島を目指す
鼓動の音
潮風に交じり
飛んでいき
カモメ羽ばたく
果てない青の間
私また手を伸ばす
流れる塩水
しょっぱくて涙みたい
ほろり伝う雫
抱きしめても
手の間からすり抜けていく
透明なほどに
形のない
自分
忘れたくて
忘れられなくて
いつか見た
空と
いつかの思い出に
寄り添っては
揺蕩う
果てない海の上
流れる
流れる
手を伸ばして
帆を広げて
海よりも青い場所に
近づけているかな