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都市伝説
CHAPTER1 都市伝説
コツ...コツ...
舗装道路を歩く音。
その音もやがて無くなって、ザク、ザクと土を踏む音に変わる。
私達の学校の裏にある桜山。
灯も何も無い、真っ暗な山道。
気がつくと、大きな木の前に出る。本当に、大きな、大きな木。
そこに着いたら、右手を当て、こう唱えるの。
「失われし美よ、散りゆく花よ、我を導きたまえ。」
そうして、眼を瞑り手を引かれるままに歩く。途中で止まったらやり直し。目を開けると殺されちゃう。
手をぱっと話されて、優しい妖しい風が頬を撫でたら眼を開ける。
いつの間にか朝焼けと青空と夜空を混ぜたような静かで落ち着いた紫の空と、緑の芝に覆われた丘がある。
そこには眼を見張る程の見事な桜と、その桜に負けず劣らずの美しい少年が、いるらしい。
そんな、どこにでもあるような御伽噺。