表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/55

《雪月花》会談──後日談

「《雪月花》の、《姫》。会談の前に……《仙藤》の《長》より、言伝を預かっております」

「へぇ、何て?」

「只今より代読させて頂きます」



『月ヶ瀬美雪、《雪月花》の──《姫》。単刀直入に言わせてもらう。今回の一連の騒動について、我々は何も言わない。賠償金も、最高責任者による謝罪も、処分も。そんな事をするつもりは無い。


だが、その代わりに1つ。提案といこう。我々に協力する気はないかな?

あぁ、勿論、強制はしない。そこは己の判断に任せよう。だが、断った場合……上には我々が居るのをお忘れなく。


いくらその存在が廃れしモノだとしても、わざわざ名を改め、最古の起を否定し続けるのなら。当然、無視は出来まい?

その存在を無視したとなれば、己の拠り所たるそれさえも無意味となるのだからね。


さて、2度目の問いかけだ。……どうする?

言っておくが、我々は併合しようなどという考えは一切持ち合わせていない。ただ、こちらに手を貸してほしいだけだ』



「……以上となります。如何致しましょう?」







「あー……もうムリ」

「……分かりみ」



万年筆を胸ポケットに仕舞い、机に突っ伏して呟けば──正面から聞こえてくるは、呑気な彩乃の声。


隠蔽班と協力して現場の後片付けをし、《雪月花》との会談に出かける桔梗を見送り、部屋に帰ってからも書類仕事に追われる始末。

おかげで夜の6時を回ってしまった。



「ホンットにもうムリ。動きたくない。学校も行きたくない」

「それな」



そうこうしていると、ガチャっ……という扉の開閉音が部屋に響く。

そして現れたのは、お盆の上に湯呑みと急須を載せた和風ロリ。



「お疲れ、だから。……お茶」


「ありがとね、彩。今ほど側近の素晴らしさを思い改めた事はなかったよ」

「……どう、も?」



背伸びをしつつ湯呑みを渡してくる彩にお礼を言いつつ、椅子に深く腰掛けて湯呑みの縁を口へと持っていく。

いつものように芳醇な香りがし、程よい苦味が口の中に広がる──ハズ、だった。


「……ぶっ!?」

「きゃっ!?」



やべぇ、冗談抜きで吹いた。

即座に彩が『開かずの小部屋』で防御してくれたから本人に火傷もなく、床も濡れることがなかったが……。



「彩、ゲホッ……! ゲホッ、何を……入れ、た……!?」

「センブリ、茶……ですが」

「「…………」」



咳き込みつつ問う俺に彩は1つの答えを出したのだが、今度は彩を除いた全ての人が凍り付いた。

え、何。センブリ茶? そんなモノ食堂にあったっけ?



「《長》が疲労困憊で、可哀想……と言ったら──コック長が笑顔で、くれ……ました」

「あの野郎……完全に嫌がらせだろうが!」



まぁいい。彩のその気遣いは嬉しい。凄く嬉しい。

だが問題は、そこでセンブリ茶を渡すコック長だ。普通センブリ茶渡す? 渡さないよね?



「あー、2人とも少し待っててくれる? 厨房行ってくるから」

「コック長逃げて! 超逃げてー!!」



相も変わらず、我が周辺は騒がしい。



~to be continued.

これにて2章はお終い。3章もお楽しみに。


ブクマや評価もお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ