支部襲撃
短いけど許して。
学園都市から少し離れた、東京の街中。そこにある数多のビルの中に、小規模ながら経営しているオフィスがあった。
一般企業よりも従業員の数は少なかったが、少なからずのんびりと仕事が出来ていた彼ら。今日ものんびり仕事をしている最中、それは起こった。
「部長、この書類はどこへ?」
「あぁ、籠に入れといてくれ」
とある1人の社員が籠と呼ばれたモノに書類を入れた、その時。
「な……何ですか! 勝手に入らないで下さいっ」
突如響く、従業員の叫び声。方角からして、フロントの方だ。
それに被せるようにして、重い靴音がいくつも連なっている。
社員たちはその音の発信源を確認し、眉を顰めた。社員中の視線が集まる。
彼らが見たのは、服装・年齢全てバラバラな男女。それなのに、何処か凶悪な雰囲気を醸し出していた。
「皆様、如何致しましたか?ご要件ならば受付の方へと──」
部長が声をかけるが、彼ら彼女らは、それをものともせず奥へ奥へと進んでいく。
それを見て部長も決心したのか、フロントの受話器を手に取って、
「──いい加減にしろ! 警察を呼ぶぞ!」
口ばかり──。
すぐに通報しなかったところに余裕を覚えた彼らは、口の端を歪ませ、不敵な笑みを浮かべた。
それもそうだろう。部長が行った一連の行為は、あくまで威嚇のようなモノ。
普通の人間ならば、怯んで逃げ出すなりのアクションを起こすハズなのだから。
しかし、それは失敗に終わる。
ある1人が隊列から抜け出し、飾られていた観葉植物へと手を翳した。直後。
「なっ…………!?」
漏れ出た声は何処からか。
観葉植物は、瞬時に消し炭と化した。火の粉が舞い、灰が落ちる。
「全員、外へ出ろ」
それは彼らが初めて口にした言葉。
そして、消し炭となった観葉植物を指さして、
「こうなりたくなければな」
と笑いながら告げた。




