第三十三話
抱きしめ、答えを教え、それから笑った。
そしていろいろと回ってから、先輩が言っていた時間になりつつあったため、惜しみつつも部室へと戻る。
「おかえりー」
そして少し息抜きをしている部長さんが、家庭科室の中で出迎えてくれる。
ジッと見てくる部長さんに、深屋がおずおずと聞いた。
「あの……?」
「ん?いや、仲良しだねぇ、と」
思わず知れず、手をつないでいた。
指を組み合わせて、しっかりとしていた。
「もしかして、したの?」
告白を、ということだろう。
「ええ」
何を言ったかは秘密だと、深屋は部長さんへと教える。
「えー」
部長さんは、残念そうだった。
でも、俺たちを尊重してか、それとも、幸せそうだったからか。
何も言うことなく、店番をしている岩嶋先輩を呼んだ。
「そろそろ休憩入ってー」
「りょーかい」
先輩方は、にっこり俺らを見て。
「後はまかしたよ、お二人さん」
と店番を託してくれる。
「共同作業だね」
先輩方が家庭科室から出ていくのを見つつ、深屋がこそっと耳打ちした。
「そうだね」
初めての共同作業とか言うと、もう新婚にしか聞こえてこない。
「がんばろうね」
改めて言われるまでもない。
「そうだな頑張らないとな」
これまでも、これからも勝負の連続だ。
そして、きっと、その傍らには深屋がいるだろう。
甘い、とても甘い生活を夢見つつ、俺と深屋は文化祭の出店の店番へと入った。




