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第二十話
店から出るとき、手はつながなかった。
それでも深谷はさっきより近くで歩いている。
「ねぇ、さっきのって誰に買ったの?」
「深谷に」
言いつつ、袋から取り出す。
袋といってもビニール袋で、シールも止めてもらっていないから出すのは簡単だ。
「ほらよ。かわいいだろ」
可愛いと思っているはずだ。
何も言わずに、ケーキが入っている箱を手に下げつつ、テディベアを受け取っていた。
「何か言えよ」
思わず俺は深谷へといった。
「ああごめん。男の人からのプレゼントって、初めてだったから……」
それで、何をしたらいいか分からなかったんだろう。
「そういう時にはな、素直にありがとうって言っておけばいいんだよ」
少し歩を進める。
その後ろを、にやにやしながら深谷はついてきた。
少し速足で歩いてやろうかと思ったけども、それはやめておいた。
それもかわいいと思っている俺がいるのに気づいたからだ。




