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第十一話
ショートケーキは、あっという間に作られていく。
その手際の良さは、噂通りだった。
「ほら、できたぞ」
スポンジ生地を半分に切って、それに生クリームを塗り、イチゴを半分にしたものをはさんでいく。
「あとは飾りだな」
井野嶽先輩は、言いながらもヘタを切り落としつつ、飾り付けていった。
俺らはそれを見ているだけだ。
あとは、先輩らが皿を準備している。
「先輩、すごいですね」
俺は横にいる部長へといった。
「でしょ。よーく見とくのよ。井野嶽先輩に並ぶ技術の持ち主なんて、国内に、いや世界に何人いるかわからないからね」
部長がいうのなら、きっとそうなのだろう。
俺は思いつつ、その手際をしっかりとみていた。