6・中3
中3になるとサッカーも忙しいが、高校受験が待っている。俺は啅人と同じ『勇平亜高校』を受験しようと思う。
とても偏差値が高い高校であるが、俺と啅人は余裕で合格できそうだ。
サッカーももちろん頑張っている。今日は練習の帰り、いつものように啅人と帰る。
「高校になっても一緒にサッカーをしような!」
啅人は笑顔で言う。
「ごめん。高校に入ったらサッカーはやらない。」
俺は啅人の顔を見て真剣に言った。
「・・・・・。そっか、わかった。まぁ、詳しくは聞かないが、何かやりたいことがあるんだろ?」
啅人は少し考えて、そして理解してくれた。俺は少し胸が痛んだ。
秋になると、恵聖の親友の初陽が俺のところに来て、単刀直入にどこの高校に行くのか聞かれた。
「勇平亜高校だよ。」
俺はそう答えた。
「わかった!ありがとう!」
初陽は右手をパーにして頭近くまで上げると、すぐ帰っていった。なんだったんだろう。
理由は直ぐにわかった。偏差値が高い勇平亜高校、その中でも偏差値が低い学科を恵聖が受けるみたいだ(低いといっても、あくまで勇平亜高校の学科内であって、他の高校に比べたら偏差値が高い)。
恵聖がどのくらい勉強ができるのか知らない。けど、一緒の高校に行けたらとても嬉しい。
俺は恵聖と同じ高校生活を夢見て受験勉強を頑張るのであった。
結果、俺と啅人は見事、勇平亜高校に合格したのであった。
とても嬉しく、啅人と一緒に抱き合い喜んだ。周囲にいた女子数名が俺と啅人のその抱き合いに興奮していたのを気付かなかった。