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狼は嘘をつく  作者: 山神ゆうき
大神京
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4・中1

小学校を卒業して中学生になった。

俺は『山之樹中学校』に入学した。正門を抜けてすぐ近くにある掲示板にクラス分けと学校の地図が張り出されている。


俺は掲示板のクラスメイトの名前を一人一人見ていく。

残念ながら命の恩人の啅人(たくと)とは別のクラスになってしまった。


次に女子の名前を見ていく。大体は同じ小学校の女子で数名知らない名前の女子がいる。この中にあの時の女子はいるのだろうか。


俺はドキドキしながら教室に行き、教室のドアを開ける。


「おはよー!今年も同じクラスだね。」

「よっ、久しぶり!よろしくな!」


前と同じ学校で何回か同じクラスになった男子や女子が話しかけてきた。


「おう!よろしく!」


俺は軽く挨拶をして教室を見渡す。今登校している生徒で俺が気になっている女子はいない。


準備に手こずり、チャイムが鳴る10分前には教室に入った。つまり、あとまだ来てない数人の中にあの女子がいる可能性もある。

俺はドキドキしながら入ってくる生徒を確認した。

男子や女子が次々に教室に入ってくる。しかし、俺が気になったあの女子はいない。


ついに席はあと女子の席1つになった。もしかすると、気になる女子は遅刻ギリギリに来るかも。


チャイムが鳴る約1分前に違う小学校の女子が滑り込みで入ってきた。

しかし、その女子も俺が気になった女子ではなかった。


ーーーー(幕間)ーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


入学して数日がたった。


俺は同じクラスの啅人(たくと)のファンクラブに囲まれた。


「ねぇねぇ!中学生になっても、サッカー部に入るんでしょ?」


「啅人くんもサッカーをするんでしょ?」


などなど言われた。啅人のファンクラブと俺の関係は好きな人が認めてるイコール、俺の事を認めるみたいな感じだ。


「お、おう!サッカー部、もちろん啅人と一緒に入るぜ!」


俺がそう答えると、ファンクラブの皆はキャッキャッいいながら喜んだ。

そう、サッカー部に入ったら、またあの女子が応援に来そうな気がしたからだ。


休み時間、啅人のクラス前の廊下に啅人を見かけた。


「おーい!たく・・・。」


俺は声をかけている途中に、啅人のクラスから女子が出てきた。


俺はドキッ!という心臓の音と共に動きを止めてしまった。

何故なら、その女子は俺が一目惚れをした女子だったからだ。

その女子は啅人と何か話を始めてとても楽しそうにしていた。


(そっか。あの女子は啅人と同じクラスになり、啅人の事を好きになったのか・・・。)


俺はそう思い、深くため息をついて気付かれないようにその場から逃げた。


ーーーー(幕間)ーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「よっ!(きょう)、お前もサッカー部に入るだろ?俺も入るぜ!」


放課後、啅人は笑顔で俺の隣まで走ってきた。


「もちろんだぜ!」


俺は少し元気がない笑顔を啅人に見せる。


「どうしたんだよ?元気ないな?」


心配そうに啅人は俺の顔を見る。


「いや、いつも通りだよ。」


俺はそう答えた。


「そうそう!そんな元気のないお前にいい話があるぜ!」


そういって啅人は身を乗り出す。


「今日の休み時間のことなんだけど、俺のクラスの近津(ちこうづ) 恵聖(けいと)っていう女子が話しかけてきたんだよ!」


俺はそれを聞き、心臓がドキッとした。それでも話は続く。


「その近津さんが小学生の時もサッカーを見に来ていたらしくて、俺と京の事を応援するって言ってたよ。」


俺はその言葉にビックリした。そう、啅人の事が好きなら、啅人にだけ応援するって言うはずなのに、近津さんは啅人と俺に応援するって言ったらしいのだ。


俺はその近津さんがなぜそういう風に言ったのか分からずにいた。

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