3・6~12
この町には近くに小学校が2つある。
『山之樹小学校』と『神野里小学校』である。
俺は山之樹小学校にいくことになった。もちろん、命の恩人の啅人もそうである。
この2つの学校はスポーツマンドリルというサッカークラブがある。
スポーツマンドリルは学校が終わり、放課後に小学校の運動場で行われる。
俺と啅人は小学校に入学してすぐに入部した。クラブの名前は『山之樹バッハローン』である。
10歳になったとき、俺と啅人は急成長した。京啅コンビと言われ、エースストライカーの啅人、それを俺がサポートする。うん!最強コンビだ!
そして、啅人にはファンクラブが出来たのであった。
小学校は近場に2校あるけど、その小学校の近場に中学校は1校しかない。つまり、山之樹と神野里の生徒が一緒に通うことになる。
そう、2校のサッカークラブの生徒は自然とほとんどの生徒は中学校ではサッカー部に所属するのだ。
その為、毎年10月の第3日曜日には山之樹バッハローンと神野里ベントウヴェンの交流試合が行われるのだ。
12歳になった俺も例外ではない。試合は神野里小学校で行われることになった。
「6年生最後の試合!頑張ろうな!」
啅人は俺の肩をポンポンと叩く。
「おう!」
俺は自分に気合いを入れるために自分の頬を2回叩いた。
ーーーー(幕間)ーーーーーーー
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試合当日。
「「「キャー!山之樹バッハローン!頑張ってー!!」」」
バッハローンの応援は啅人のファンクラブのおかげで女子が多かった。
「「「うおおおおお!!神野里ベントウヴェン!!!ファァァァイトォォォ!!!」」」
向こうはむさ苦しく、男子の応援団が多かった。
しかし、俺には関係ない。この勝負に勝つ!ただそれだけであった。
「いっけぇー!神野里ベントウヴェン!」
一人、男子の応援団に負けるものか!と言わんばかりに大声を出している女子がいた。
そして俺は驚くように目を見開いた。その元気な女子の横に少しし恥ずかしそうに応援をしている女子がいた。
俺はその女子に一目惚れをしてしまったのだ。
「試合開始!」
ピーーー!
俺がその女子に見とれて動けないときに不意打ちで試合開始!のホイッスルがなったのだった。
ーーーー(幕間)ーーーーーーー
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試合の結果、俺達、山之樹バッハローンが勝ったのであった。
「うおおおおお!!」
啅人は嬉しさのあまり雄叫びをあげる。ほぼ互角の戦いの末、啅人の最後のシュートが勝利の決め手となった。
啅人のファンクラブが俺と啅人の周りに集まり「おめでとう!」と言う。
俺は横目で相手側を見てみた。すると、大声で応援していた女子が向こうのエースストライカーを励ましており、隣にいる気になる女子は笑顔で見ている。
あの子に応援されたらもっと頑張れるのになぁ、と思うと悲しくなる。
あの女子は彼氏がいて、その男子の応援に来たのだろうか?そう思うと胸が苦しくなり、ため息しかでないのであった。