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選出

「いやはや、本当に驚きましたぞ、ライトニング卿! まさかあのカリナンをほぼ完封して当選するとは・・・!」

「・・・いや、これも民が私を信頼してくれたからですよ、アーガイルさん。それより、これから私は正式に下院に所属することになります。宜しくお願い致しますね。」


議員選挙の後、アーガイルとライトニングは館で茶を飲んでいた。


「ハッハッハ、貴公のような有望な議員は大歓迎ですぞ、こちらこそ宜しくお願いいたしますぞ、ライトニング議員!」

「はい、宜しくお願い致しますね。」


アーガイルはご機嫌な様子でライトニングと話込んでいる。


****************************************************************:


・・・ネタバレをしてしまえば、簡単な話だ。ライトニングは自らのスキル『選出』を使って、セルティックのほぼ全ての町人に自分を選ばせ、投票させるよう働きかけただけだ。最初は鍛冶屋のスペース程度しか機能しなかった範囲も、今では町一つを覆うほど範囲が広くなってきている。


これは、ナミアと各地を行商したときに、できるだけ多くのものから『選出』するよう修行した結果でもある。自身が望むものを選び出すことと、自身を選び出させることは能力の使用に若干の違いはあるが、今のライトニングには瑣末なことであった。ちなみに今のステータスは以下のとおりである。



Lightning Ridge (ライトニングリッジ) Lv.78 スキル『選出』



スキル『選出』

1日1~3回使用可能。使用する場合は心の中で『選出』を強く意識する。

効果は、有りとあらゆる事象の確率を無視し、自身若しくは自身の望むものを選び出す能力。

効果範囲によって、1日の使用回数限度が異なる(町一つを覆う規模であれば1回、小さなものから選び出すのであれば最大3回まで)




・・・ヴェール大陸に以前召喚された勇者のレベルが、最終的に56であったらしいから、ライトニングのレベルがいかに高いかお分かりであろう。また効果範囲によって、最大3回まで能力が使用できるようになった(以前女性2人の悩みを解決したのもこの回数上限の増加によるものである)。


ライトニングはこの力を授かってから、ゴールが処刑されてから、自分に何ができるのかを考えていた。政治を変えるといっても、人一人ができる能力には限界がある。しかし、神から授かったこの力『選出』があれば、自分がこの大陸の内閣総理大臣になれるのではないか、そうすることで、何か変わるのではないかと考えて、この4年間を生きてきたのだ。


***********************************************************


「・・・ナミア、ついにここまで来たよ。」

「・・・そうだね、お兄ちゃん。」


リッジとナミアは2人、夜のセルティックの館で食事をしている。


「うん、やっぱり美味いよ、ナミアの作った料理は。」

「うふふ・・・ありがとう。」


世界各地を回って、リッジは見聞と人付き合いを、ナミアは家事や料理などのサポートを学んでいった。


「・・・それで、これからどうするの、お兄ちゃん。」

「・・・そうだな。ゴール商会はもうドルノドに任せて心配いらないと思う。オレたちは、ヴェール大陸の下院議員になったんだ。(・・・ヴェール大陸は王都が143議席、14の地方都市がそれぞれ1~10議席の計125議席で占められている。現在、上院が過半数の議席を占めているから、国会の政治は上院の言いなりの状態が続いている。まずはこれを変えなくてはならない。)」


リッジが思案にふける。確実に勝つ算段をつけるために。


「でもお兄ちゃん、お兄ちゃんの『選出』は確かに町一つを覆えるほどになったけど、大陸全部を範囲にかけるのは無理なんでしょう?」

「・・・ああ。おそらく、後何十年と修行しないとそこまでのレベルにはいかないだろうね。そしてその頃には、オレの被選挙権がなくなっている。何か手を考えなくてはいけないな。」


『選出』のレベルは確かに上がっているが、これだけでは決定打にはならないだろう。誰か、政治の世界に詳しいものの助けを借りる必要があるように感じる。


「(アーガイルさんが今一番の候補だけど・・・もっと他にも当たってみるか・・・。)」

「・・・お兄ちゃん。ナミアはいつまでもお兄ちゃんと一緒に居たいよ。もうお父さんの時のような思いをするのはイヤ。」

「ああ、オレもいつまでもナミアと一緒にいるよ。」


2人の晩餐はそうしてゆっくりと時を刻んでいくのであった。




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