死後
(・・・ここはどこだ。オレは死んだのか・・・。)
真っ暗で何も見えない世界で考える。確か、最後にナミアの御飯を食べていた気がする。
(あぁ、もっとたくさん、ナミアの美味しい料理が食べたかったなぁ・・。)
一人愚痴る。そんな時、頭の中に声が響いてきた。
『長旅大義であった。朕は天地創造を成し、万物の長たる絶対の神王である。』
ああ、これは確か初めてこの世界に来たときにも感じた。この神様がオレをこの世界に呼んだんだっけな。
『朕は汝が彼のようにutopiearthの頂点に属するとは思考せなんだ。如何ようであったutopiearthは?』
うん、楽しかったし、凄くやりがいがあったよ。やりきったというか、充実した人生だったと思う。
『然らば良し。併し汝の存在が世界に強かに干渉した。次に移動させる者は熟考せねばならん。』
あ~やっぱり、ヴェール大陸の内閣総理大臣になって制度を大きく変えたのはまずかったのか。まぁ、後悔はしてないけどな。
『潔し。最期に汝のutopiearthでの軌跡を観せてやろう。では又孰れ』
神様はそう言った後、オレの頭の中に映像と文字が流れ込んできた。
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25歳・・・地球からユートピアースに転移。ヴェール大陸・セルティックの町に転移し、そこでゴールドストライクの娘ナミアに介抱される。
26歳・・・王都にゴールドストライク、ナミアと共に上がるが、ゴールドストライクが処刑。再びセルティックの町へと戻る。
28歳・・・ナミアと各地を旅する。旅先で『選出』の力を磨き、一財産を築く。ゴールの意思を継ぎ、ゴール商会を設立。
30歳・・・ゴール商会が大陸有数の商会となり、会長の座を二代目会長ドルノドに譲る。同時に自身はヴェール大陸のセルティック代表、下院議員に選ばれる。
32歳・・・ヴェール大陸下院議員のゴルコンダ、アーガイルら有志とともに大陸民主党を設立。初代代表を務める。
35歳・・・第52回議員選挙で同地区内で対立していたヴェール大陸上院議員のランメルスベルグを破り、また下院の大陸民主党が過半数の議席を占め、議員選挙以来初の政権交代が起こる。同じく同年、ヴェール大陸議会・内閣総理大臣に就任(大陸史上最年少での内閣総理大臣)。
37歳・・・ライトニングリッジ総理大臣は数々の問題に着手。言語の統一、金銭価値の統一、身分による差別の撤廃、商業・貿易政策の拡大、学校教育の無償化、魔法大学の設立他、様々な功績を称えられ、第一回ヴェール大陸英雄賞を受賞。
45歳・・・内閣総理大臣を辞任。後任に若いタウトナ副代表を押す。辞任後も影響力を各方面に伸ばし、セルティック魔法大学を設立。
72歳・・・晩年は妻ナミアと共に再び各地を周り、人々の役に立っていったという。享年72歳。
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まぁ、なんだ。取り敢えずは充実した人生だったよ。やりきれないこともあったが、次の世代の者にしっかり託してきたしな。・・・そんなことを思いつつ、ライトニングリッジの意識は少しずつ少しずつ薄くなっていくのであった・・・。
拙い文章ですがお読み下さり、誠にありがとうございましたm(__)m