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結党

上院議員ランメルスベルグ。オレにとってはゴールさんの敵であり、ゴルコンダさんの話では政権交代を成す上で最大の障壁となる存在だという。オレとナミアが王都に初めていった当初はただの上院議員であったが、オレがナミアと共に行商の旅に出て、ゴール商会を立ち上げている間に上院議員の副代表となったらしい。


「ライトニングリッジ。如何にお前が優れた議員で民から愛されようと、あやつをなんとかしなくては政権交代をすることは夢のまた夢であるぞ。」


オレはゴルコンダさんからそう諭された。ゴルコンダはオレに協力することを約束し、今はセルティックの館に招かれている。ちなみにこの場にはアーガイルも参加してもらっている。


「いやですが、ゴルコンダ議員。貴方だって元副代表であったのでしょう? 貴方がいらっしゃれば、対策だって十分に練ることができますよ。」

「アーガイルか。いや、あやつの恐ろしいところはその地位にあるのではない、その恐ろしいまでの冷酷さと頭の切れ、さらには大陸随一と言われる家柄の良さで、癖のある上院議員をまとめておるのが問題なのだ。わしも何度かあやつが若い頃に話をしたことがあるが、あらゆる法律を熟知し、自らが不利になることは一切しない。まさしく議員になるための男のようなものじゃ。」

「・・・・・・。」


オレたちは今、ランメルスベルグに対抗するための策を練る為に集まっている。だが、思うように良い案は浮かばない。


「一方、わしらの下院は元貴族らの上院と違って、横の繋がりが薄い。上院議員らから烏合の衆と言われているのはその為じゃ。結果、議員選挙では横の繋がりに厚い上院が議席を多く獲得する結果となる。」


・・・オレのスキル『選出』を使えば、一定数の票を自分に集めることはできるが、それはあくまでオレ個人の票だ。下院全体の議席を上げるには至らない。


「んー八方塞がりか・・・ライトニング卿、貴殿は何か良い考えはないか?」


アーガイルが困りあぐねてオレに意見を求める。


「そうですね・・・これはあくまで案なんですけど、下院で民衆のために働こうという議員の横の繋がりが薄いのなら、なにか組織を作って横の繋がりを強めたらどうでしょう? 私でしたらゴール商会に顔が利きますので、大陸全土に呼びかけることはできますよ。それこそ元貴族の繋がりに負けないくらいの、ね。」

「おお! それは良いかも知れん。ゴルコンダ議員は今のお考えはどうですか?」

「・・・うむ、今までは元貴族や大商人といった有力者は全て上院にとられておったからの。そういった発想自体することは出来なかったが、ライトニングリッジ、お前がいるなら話は別かもしれぬ。・・・それに、何やらお前には不思議な力があるようだしな。」


以前のオレがいた日本の制度を思いだして言っただけなのだが・・・。


「さしずめ、我らは民衆のために戦う同士、『大陸民主党』とでも名付けようかの。」


この会談から1年後、オレが下院議員となってから2年後にヴェール大陸有志が集まって、大陸民主党が結成されることになる。この党はオレがゴール商会に働きかけて積極的に作ったという経緯もあり、オレが初代代表となることとなった。そして、ランメルスベルグも上院議員代表となり、2人の一騎打ちが始まることとなる。


************************************************************************:


「ッチ! 目障りなハエ共が!!」


ランメルスベルグは自身の城で、知らせを聞いていらついていた。


「何が『大陸民主党』だ! 庶民どもの分際でこのオレ様に楯突きやがって!! このランメルスベルグ上院議員代表に勝てるとでも思っているのか!?」


いらいらが止められず、近くにいた侍女を殴り飛ばす。


「! キャッ!!」

「なんだ、邪魔だ女!! とっとと失せろ!!」


ランメルスベルグは王都に絶大な権力を握っている。王都では彼に逆らうことがあれば生きていくことはできず、処刑されるか追放されるかのいずれかである。


「・・・ハハッ、そうだ、何も案ずることはない。ヴェール大陸は王都が268議席中143議席を占めている。この王都でオレ様に逆らうやつはいないし、いても殺してきた。当面はだが、王都を死守すればオレ様は誰にも負けることはない。国王は既にオレの言いなりだ。皇女もオレの正室になることが決まっている。今度の第52回議員選挙さえ乗り切れば、おれが負けることは有り得ないのだ。ハハハハハハハハッ!!!!」


王都でランメルスベルグは高笑いをする。そう、誰も彼を止めることはできなかったし、逆らうことは万人が許されないのだ。たった一人を除いて。


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