出会い
毎日更新予定です。宜しくお願い致します。
(オレはどこにいるのだろう・・・。)
真っ暗な闇の中で考える・・・。
(そうだ、そういえば昨日の夕御飯の残りが冷蔵庫に入っていたっけ・・・。)
お腹が空いてきてしまったので、そんなことを考える。ん?手足が動く。それに視界が明るくなってきたようだ・・・。
(体が動くようになってきた。それに、なんだか眩しくなってきたぞ・・・)
オレは目を開けた。そこには、見知らぬ天井があった。
「あっ! 気がつかれたんですね! ・・・体の具合は大丈夫ですか?」
若い女性の声がして、周りを見渡す。そこには、桃色髪の美しい少女がこちらを覗き込むようにして見ていた。
「・・・。うあっ・・・。」
なぜだろう、声が出ない。それに、とても綺麗な少女だが、とても日本人とは思えない容姿だ。
「ああっ! 急がなくていいですから、落ち着いて。・・・ここはセルティックの町。あなたはこの道の外れに倒れていたんですよ?」
・・・全く記憶が無い。それに名前からして外国だろうか?でも、日本語で話している気もするし・・・。
「・・・いいですよ、ゆっくり考えがまとまるまで、こちらで休んでいてください。私の名前はナミア。何かあったら呼んで下さいね。」
そういって、桃髪の美少女は部屋を出て行った。
(・・・ふぅ。)
ベットに再度横たわって自分のことを考える。おぼろげな記憶で覚えているのは、自分が日本人だってこと。確かやたらブラックな会社に勤めていて、一念発起で望んだ転職のための資格試験で、見事に落ち、沈んでいた気がする。名前は・・・思い出せそうで思い出せない。
(ともあれ、ここが安全な場所なのは確からしい。体があちこしきしんでいるし、お言葉に甘えて休ませてもらおう・・・)
そうして、オレはいろいろな疑問に目をつむったまま、暖かい枕に頭を預け、目を閉じた。
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「・・・やっぱり、夢じゃなかったのか。」
目が覚めてまず思ったのは、相変わらず見慣れない天井を見つめた時であった。
「とはいっても、ナミア・・・だったかな? 彼女に色々話を聞かないといけないし、オレの状況を整理しないといけないな。」
いや本当に、自分が記憶喪失のような状態になるとは夢にも思わなかった。しかし、以前の自分に比べて、妙に自信と力が湧いてきている気がする。
「(ガチャ)・・・あ、お目覚めですか?」
そんな時、ちょうど良いタイミングでナミアがこちらにやってきた。
「・・・ナミアさん、でしたか? 介抱していただいたようで、ありがとうございます。」
「うぇ? いいですよ、そんな、困っているときはお互い様ですし・・・。それより何か、思い出せました?」
ナミアは桃色の髪を揺らして、首をかしげ、こちらを気遣うような目で見つめてくる。
「それがですね、いまいちよく自分のことや、どうしてここにいるのかも思い出せないんですよ・・・。」
「まぁ! そうなんですか・・・。 あなたの名前は分かりますか?」
名前・・・思い出せそうで、本当に思い出せない・・・。そのうち、思い出せそうな気はするのだが・・・。
「・・・・・・。」
「・・・そうですか。でも記憶喪失っていうのも、何かきっかけで思い出せるそうですし、心配いらないですよ。・・・あ! そういえば、倒れていた場所の近くに、こんなものが落ちていたんですが、もしかして見覚えありませんか? 私には読めない文字なんですけども・・・。」
そうしてオレは、ナミアが差し出したA4くらいの1枚の皮用紙を受け取った。そこにはこう書かれていた。
『ご機嫌は如何か。朕は天地創造を成し、万物の長たる絶対の神王である。』
『朕は無作為にearthの生命体を選出し、この地utopiearthに移動させた。』
『utopiearthは生命体の生夢を形どって生成した世界。何れ全生命体がこの地で暮らす事となろう。』
『汝はその魁として選出された存在だ。とはいってもこの地utopiearthで自由に暮らすだけで良い。』
『汝が暮らし易いよう、朕の力を1委譲する。達者で暮らせ。では又孰れ』
・・・文章が難解すぎて分からないが、要は神様に選ばれてこの地球とは違う世界にいるということだろうか?
ちなみに文章は日本語であった。
「どうですか? 何か分かりましたか?」
ナミアが心配そうな目をして、こちらを覗き込んでくる。
「・・・いえ、自分のことは何もわかりませんが、倒れていた事情はなんとなく思い出せそうです。」
「そうですか! 少しでもきっかけになって良かったです!」
ナミアは無邪気な笑顔をこちらに向ける。・・・その時、頭の片隅に文字が踊った。
「・・・あ、いえ、自分の名前も思い出しました。」
「まぁ! なんていうお名前か教えてくださいます?」
Lightning Ridge (ライトニングリッジ) Lv.1 スキル『選出』