RIA1
RIA
蒼兎
【プロローグ】
△仮想世界で選び取る現実
「仮想世界『RIA』。『BOOK』と名付けられたハードによってこのソフトは動く」
友人は説明してくれるが何を言っているのか分からない。
仮想世界なんて所詮データでしょ、ゲームとどう違うの?
そういうと、友人は意気揚々と、
「現実よりも現実らしいデータだよ」
と鼻を鳴らした。
あー、これはいっちゃってるなー。
世の中は二次元と三次元の二つにわかれた。
こいつも三次元に絶望し、二次元に逃げ込んだ輩の一人なのだ。もっと、三次元で四苦八苦してから逃げたら良かっただろう。二次元で否定された後、君はどこに逃げるつもりなの?
▽仮想世界に選ばれる現実
「仮想世界『RIA』。『BOOK』と名付けられたハードによってこのソフトは動く」
友人は説明してくれるが何を言っているのか分からない。
これは僕が作り上げた仮想世界なんだ。
そういうと、友人は意気揚々と、
「現実よりも現実らしいデータだよ」
と鼻を鳴らした。
世の中の科学は進歩した。
科学が娯楽を提供するには、創造のスピードは追いつかなかった。いかに二次元世界を表現できるのか、その点に重きが置かれることになった。名も無き友人はソフト『RIA』を表現した。
その世界がどういうものなのか、まだ分からない。
◇二つの時空線
当初、ハードウェア『BOOK』は教育活動を目的に制作された。
"体験に勝る成長はない"
国の提示した一つのプランだった。
高橋が制作に携わったのも、そういった教育方針に興味があったからだった。VRMMOと呼ばれる超現実。仮想世界。この世界とは別のもう一つの世界。
仮想世界。バーチャルリアリティ。
現実の身体を昏睡状態にさせ、意識だけを別の世界に転送する。
その世界の中で、人はアバターと呼ばれるもう一つの身体を手にする。
データで作られる仮初の身体。
人はその仮想世界の中で現実では体験しうることのできない経験をすることができる。
魔法が飛び交うファンタジー。
過去の偉人の記憶に寄せたヒストリー。
月面から地球を見る超現実。
どのようなものでも舞台にすることができる。
データ上の仮初の身体で経験することなので、多少の無茶も可能である。
身体は現実にありながら、実際の自分の意志で冒険を楽しむことができるのだ。
限りなく安全に。
均質のとれた幅広い経験を。
その経験が一生のものになる。
謳い文句はなんとでもなるが、政府の目的とする教育理念を提供するためには良質なシナリオが必要だった。
子ども心をくすぐる魅力的な舞台。
その舞台となるソフトを作ったのが彼だった。
2013/02/19 16:32