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追憶の中のある日

 仕事や私情等で、更新が大幅に遅れて申し訳ありません……。


 追記:小説本文の一部を修正しました。

「もう集まる時間、とっくに過ぎてるんだよ」

「えっ…?」

 ルークの言った言葉にカイルは思わず声をあげる。そんな自分の反応を笑いながら彼は言った。

「ははっ!確かにカイルは俺たちよりも早く来ていたけど、ずっとここで眠っていたんだよ」

「じゃあ、ティアとレイラは来ていないんじゃなくて……」

「そう。先に行ったんだよ」 

 今更になってカイルは、しまった!と思った。自分が眠りこけていた理由が、夜遅くまで父親の土産話を聴いていたなんて話したら、二人はきっと呆れるか笑うだろう。

「二人をこれ以上待たせるのも悪いから、そろそろ行こうぜカイル」

「あぁ、そうだね」

 ルークにそう言われて、カイルは噴水のある広場を二人で後にした。


「それだったら、もっと早く起こしてくればいいのに……」

 ルークと二人で西街の通りを歩きながらカイルは彼に不満を言った。

「俺だってカイルを起こそうとしたさ。ティアもレイラも眠ってるお前を起こそうとしたよ」

「そうなんだ。二人も僕を起こそうとしたんだ」

「そりゃな。だけど起きそうになかったから、二人には先に行くように俺から言っといた。それで俺はカイルが起きるのを待っていて……」

「僕が全然起きる気配がなかったから、強引に起こしたんだね」

 ルークが言おうとした言葉をカイルは先に言った。正直あんな起こされ方は二度とごめんだと、彼はそんなことを内心で思いながら。


「そういうこと。俺に感謝しろよカイル!」

「はいはい、それはど~もルーク」

  カイルは自慢げに言うルークに適当に言葉を返した。

「あんまり感謝の気持ちがこもっていないなカイル……。とっ、そろそろ着くな」

 二人で話しているうちに、西街の大通りからオルタフス王国の外へと続く門へと着いた。門では旅人や商人それにギルドの冒険者など多くの人々が門を行き来している。そして入口付近では王国の兵士が警備し、門へと近づいて来る魔物がいないか常に警戒している。


「こっちに来たってことは、二人は湖に行ったのかな?」

 二人で門をくぐりながらカイルはルークに訊いた。

「ああ、そうだよ。今日は天気がいいからレイラが湖の方に行きたいって言ったんだ」

「そっか、最近は湖には行っていなかったからね」

 オルタフス王国の西側の草原には広大な湖がある。西街を出てすぐ近くということもあって、カイルたちもよくここで遊んだりしている。


 カイルとルークは門を出て西へと続く街道を外れ、湖のある草原側に向かって歩く。湖にもう少しで着くあたりで二人を呼ぶ声がした。

「あっ!カイル、ルークこっち!!」

 湖から少し離れた花畑の方からだ。その方向を見ると二人の少女がこちらに向かって手を振っている。

「お~い!待たせて悪かったなっ!!」

 その呼び声にルークが手を振り返しながら応える。

「カイル、少し急ぐぞ」

「うん、そうだね。これ以上待たせたら二人に悪いし」

 そうカイルとルークは話して、花畑の方へと向かって走りながら向かって行った。


「もう、カイルにルーク本当に遅いんだから」

 花畑について早々、手を振っていた少女の一人に二人は文句を言われてしまった。

「悪いティア。それがさカイルの奴、昨日おじさんの土産話に夢中で寝不足だったんだとさ」

「えっ、そうなのカイル?」

 ティアと呼ばれた金髪の少女はルークの話を聞いて、彼女はそのことをカイルに訪ねた。

「あっ…、ちょっとルーク!」

 自分が居眠りをしていた理由をルークにあっさりと暴露されてしまい、カイルは思わず声をあげる。

「ははっ!カイル、こういう時は正直に言った方がいいんだって」

 などとルークは笑いながら適当なことをカイルに言った。

「それは僕が悪いけどさ…、まぁ…ティアその…なんていうか……」

 自分に落ち度があるのは確かなので、ティアに理由を説明しようとカイルは思ったが、少し恥ずかしくて言葉が出ない。


 そんなカイルの様子を見ていて、ティアはクスッと笑って彼に話しかけた。

「なんとなくルークの話で理由は分かったわよ。そういう所、カイルらしいよね」

「えっと…それってどういうこと?」

 ティアの言葉にカイルは戸惑う。そんな彼にルークが肩をぽんっと叩いて言う。

「まっ、いつもギルドの冒険家になりたいって言っているお前なら、おじさんの話に夢中で寝不足なんて当たり前だろうな!」

「それは寝坊したのは確かに悪かったよ。けどさ、冒険家になりたいってそんなに言っている覚え僕にはないんだけど……」

 カイルは二人にそう話した。けれど、そんな彼にまったくといった感じでティアは言った。

「あのねカイル。私たちと遊んでいて話をすると、よく言っているわよ」

「えっ…そんなに?」

 自覚が無かったのでカイルはティアに訊き返してしまう。彼女は少し笑いながら答えた。

「ふふっ!いつも言ってるわよ。ねっ、ルーク」

「あぁ、よく言ってるぜ。『いつか父さんと同じように冒険家になって色々な土地をを旅してみたい』ってな!」

 ティアから話をふられたルークはいつものカイルの『口癖』を言った。


「うっ…僕ってそんなに言っていたんだ……」

 最後まで読んでいただきありがとうございます。過去の話はもう少し続く予定です。今後は1~2週間ペースで投稿していけたらと思っています。

 

 読んでいて誤字、脱字等ありましたらご指摘をお願いします。

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