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なろうだけよ-短編

パパを許しちゃいけない in クリスマスイブ

作者: ササデササ

5.

 一枚の紙切れが食卓にあった。

 これでもクリスマスプレゼントのつもりらしい。

 馬鹿ね。私。

 号泣してしまうなんて……。

 どこの中年腹が、どんな心境で、書いたのかしら。

 馬鹿じゃないの。ふざけないでよ。

 涙が止まらないじゃない……。 

 



3.

 明日はクリスマスイブ。

 いや、もう今日はクリスマスイブ。

 そんな深夜に私は叩き起こされた。


「パパ許せない!」


 と妹は随分とご立腹の様子。


「どうしたの?」


 私は頭の睡魔たちを掃除しながら、聞いた。

 

「酷いのよ。信じられないの! 本当、パパって許せない!!」


 そう言うばかりの妹からは何の要領も得ない。

 一体パパは何をしたんだ?

 とりあえず、寝たい。

 寝よう。

 私は妹を放置して、寝ることにした。 




2.

 夜中の2時に目が覚めた。

 お花を摘みに行きたくなった。

 なんて、心の中で気を使う必要もないか。

 トイレに行きたい。


 一階に降り、トイレに向かう途中、和室から変な音が聞こえた。

 つまりはパパママの寝室から、がさがさと物音が聞こえた。


 強盗?


 私の頭は勝手に防御体制に入る。脳を覚醒させる。


 コッソリふすまを開け、覗いてみれば……。

 いたのは強盗じゃなかった。


 寝ているママと、起きてるパパ。

 パパがママの枕元にプレゼントを置いているみたいだ。

 そっか。今日はクリスマスイブだもんね。


 でも……。

 何やってんのよ!

 パパは信じられない行動に出た。


 深夜だろうが関係ない。

 私は姉を起こさねばならなかった。




1.

 娘たちのへのクリスマスプレゼントは、現金だ。

 いつからそんな娘に育ったのか、もう3年ぐらいは現金を要求される。

 全く可愛気はないのにやたらと可愛い娘に育ちゃったもんだ。

 

 でも、ママは違う。

 いくつになっても、「あなたにお任せするわ」と言ってくれる。

 

 それはそれで悩むだのだけど、こいつは嬉しい悩みだ。

 娘たちには毎年笑われるし、本当に悩むのだけど、こいつは本当に嬉しい悩みだ。

 

 今年は膝サポーターと腰サポーターにした。

 どうも、最近痛がってるみたいだったからな。

 

 しかも、メッセージ付き。

 初の試みだ。

 

 結婚30周年の記念的クリスマスだからな。

 普段言えないことを、書いてやった。

 何度も読み返した。

 抜かりは無い。


 後は寝ている妻の枕横に置くだけだ。




4.

 結局、妹は寝かせてくれなかった。

 ウルサイ奴だ。

 すっかり目が覚めた私は、妹をなだめ、事情を聞いた。

 

 ……なるほど。

 パパサンタはママの枕元にプレゼントは置いたものも、メッセージカードらしきものを抜き取ったと。


 下らないなぁ。


 別に好きにさせとけば良いじゃない。

 でも、私はそのメッセージカードを見つけねば、寝かせてもらえないらしい。

 どこに隠したのかは見当がつく。

 でも今は無理だ。

 私は妹を説得し、やっと寝られることができた。

 すっかり覚めた頭を、再び睡眠モードに戻すのに手間取った。

 今日も睡眠不足だわ。


 翌朝、パパは仕事に行った。

 ママはプレゼントでご機嫌だ。

 私たち姉妹は、書斎の鍵付き引き出しから、無事にメッセージカード救出する。

 鍵はどうしたかって?

 そんなの、スキを見て合鍵作っておくでしょ? 普通。

 あとは食卓に置いてっと。

 今日は講義もないから家でゆっくりしたかったんだけど、外に出るとカップルがいてムカつくし。

 仕方ない。

 姉妹揃って出かける事にした。

 

 ちなみに、メッセージカードにはこう書いてあった。


『愛している。これからも、いままでも』


 それだけ。

 全く、面倒臭い家族だ。

 小さなことで騒ぎすぎ。

 嫌いじゃぁないんだけどね。

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