6話
「魔法学校、ですか?」
これは……、予想以上の提案だ。傭兵をやるより安全に実力を得られるし、いろいろな人と縁を持てるだろう。学生という身分は半人前と同義であるし、ここの常識を知らなくても『そんな学生も偶にはいるのか』程度に思われるかもしれない。
「あの子も通っているし、色々知りたいのなら、うってつけだと思うんだが……どうかな?」
「そうです、ね……よろしければ、お願い、します」
本来ならメリット・デメリットをしっかり考えるべきなんだろうが、魔法学校と聞いては黙っていられるはずがない!どれほど考えても『魔法学校に行くのが最善』という結論にしてしまうのが落ちだ。
冒険者……もとい傭兵も捨てがたいが、魔法学校の後でも可能だろう。
「そうか、それでは早速だが書類を作ろうか」
そういうとあっという間に食卓が片づけられ、書類(紙製)とペン(万年筆みたいなの)が出てきた。合図をしたのか、メイドさんが来て一連の作業をして出て行ったのだ。
「いくつかの項目は少しごまかすことになるから、覚えておくようにするようにね?」
そうして決まったプロフィール(2つ目)というと。
名前 アスカ・グランツ
年齢 15歳
出身 東部グランツ村
支援 アーヴァンクライト家
アスカは東部にありそうな名前だから、と出身地が決められた。年齢については18歳だと告げたらすごく驚かれたが目立ちたくないため相応の歳とした。
(東洋人は若く見えるって異世界でも通じるんだな)
「経歴はこんなものでいいだろう。次は魔力量に適正属性の検査だな」
ついに魔法が来た!と、その前に。
「適性、属性、とは?」
「む?そこからか……いや、そもそも魔法とは何かわかっているのか?」
黙って首を振る。見栄を張っても仕方がない。
「そうか……細かいことは学校で知ることになるだろうから、さわりだけ教えておこう魔法というのは、自分の魔力を以て世界と契約する技術だ」
「世界と、契約……」
これはまたスケールの大きな話だな!
「例えば、自分の求めるものをイメージしながら魔力を世界に渡すと」
そう言って手のひらから10センチ程度の光の球を出す。その前に『何か』が手に集まる感じがしたのでそれがきっと『魔力』なのだろう。
「今のは高等技術である『無詠唱』で行ったが、本来は『魔法語』いわゆるルーンを唱えて世界に意思を伝えるわけだ。見てろ<光よ、灯れ>」
すると今度は反対の手から同じような光が現れる。それと同時に『魔法語』を聞いたためか、言語知識の『魔法語』正式には『圧縮言語』なるものが使用可能になったようだ。
(確かに言語なんだろうけどやりすぎじゃないですか、カミサマ!)
「今は『世界との契約』と表現したが、学者によっては『再創造』とか『精霊との契約』と言ったりもする」
と、混乱している場合じゃなかった。それにしても、いろんな解釈があるってことは『よくわかっていない』てことかな?と納得しておく。
「今それについてはいいな。そして適正属性とは、そのままだな。才能ある属性とでも言いなおすか?」
「魔法の、使用に、対して、恩恵が、ある?」
そんな感じだ、とうなずく。改めて説明するのはやはり難しいのだろう。
「その属性を使用する際、威力が上がったり、構成がしやすくなったりする」
「最後に属性だな。これも呼び方がいくつかあってだな、
最上位属性、あるいは上位属性 『光』『闇』
上位属性、あるいは基本属性 『火』『水』『土』『風』
下位属性、あるいは複合属性 『雷』『氷』『鋼』『樹』
すべて等しく『十大属性』と呼んだりする」
他に聞きたいことはあるか?と、追加の質問を促されたが、今は特にない。後々学校で教わることになるわけだしな!
「それでは今度こそ検査を始めるぞ?<彼の者の力と、業を示せ、精査>」
詠唱とともに光のリングが俺の体を包む。
(どんな属性だ!?魔力量は!?チートみたいな能力はないだろうけどこの世界にない知識があれば無双に似たことはできるかも!?いや忘れるな、俺は凡人だって!?でも凡人の中でもそこそことかあるかも!?)
テンションがおかしくなっている俺に対し、シンシアさんは特に気負うこともなく感想を述べた。
「まあ、いたって普通な値だな」
さすがにMrフツーと自身を評した過去があっても、改めて言われて少しへこんだ。




