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3話

 ~~~クリスティーナ~~~


「ふう、緊張した~、っていけない」

 まだ扉を出てすぐだ、間違っても中にいる人に聞かせるわけにはいかないと、速足で扉から離れる。まったく、なれないことすると疲れるな~。



(まったく、話をしてもっとわからなくなるなんて思わなかったわ)

 妙な格好をして、庭に倒れていた少年について、今わかったのは



 外見から、14~5歳の人間である。

 妙な格好だが、しっかりとしたつくりの服を着ているので、それなりに裕福な家の出なのだろう。

 魔力も感じなかったし、体も特に鍛えられていない、一般人。

 名前は、アスカというらしい。

 『ネルレシア共通語』以外の言語を話す地域の出身。

 でも言葉の知識は持っているので、かなり特殊な『隠れ里』にいたのだろう。おそらく、自分たちの仲間か確かめる『合言葉』が日常の言語になるほど古くに分かれた民なのだろう。



(さらにいうのなら、ここにいるのは彼の意志ではないってくらいかな?)

 かなりの割合で彼女自身の想像によって作られたプロフィールだが、『隠れ里』に住むような連中が自分たちのことを簡単に話すわけがない。

 この想像は、アスカがこの世界の出身なら見事に当てはまっていただろう。ただ異世界の出身だと仮定しろというのは、いささか酷というものだ。



(まあ、騎士の身分である私にこれ以上うまくやるのは無理だったってことで)

 それにまだまだ話を聞く時間はあるのだし、結論を急ぐ必要はないだろう。とりあえず食事をあげれば、彼の警戒も解けるかもしれないし。何よりこんなわけのわからない人、逃がす手はない。

 そこでちょうど厨房へとたどり着いた。



 ~~~飛鳥~~~


 閉じられた扉を見つめ、ほっと一息つく。


(三日間も寝込んでいたとは、おそらく言語の知識を埋め込んだせいかな)

 先ほどの会話については、一時無視することにする。とにかく現状を把握しなければ。



 まず第一に、言葉に対しての知識があること。

(カミサマが何かしたんだろうけど、本当に言葉だけみたいだな。『ネルレシア共通語』以外にもあるみたいだけどうまく意識が向かわないな。一度でも聞けば使えるってとこかな?)


 ここら辺は感覚だが、自分の頭の中のことだし間違ってないという確信がある。

(チートはなしかと思ってたけど、さすがに言葉が通じるまで数年も無駄にできないってことかな?)

 俺のためというより、時間短縮のためだろうと思う。



 次は、ティーナのことだ。

(これもカミサマの手助けの一つだろう。もちろん無条件に手を貸してくれる、なんてことはないだろうから、何とか『力を貸してもいいかな?』ぐらいに思わせないとな)



 あとは、なぜ俺に対してここまで好意的な対応をとるのか。

(正体不明の不法侵入者に対する扱いじゃないのが気になるな。何か思うところがあるんだろうが、それが『俺』なのかそれとも俺の『状況』についてなのかが気になるな。)

 誰にだって思惑はあるだろうし、気にしすぎないようにもしないといけない。



(この世界についても調べないといけないな。カミサマ自身が『滅びかけの世界』と言ってた以上、危険なことも多いと予測されるし)

 なにより、そのカミサマの依頼がこの世界を『救う』か『滅ぼす』かして欲しいっていうんだから大変だ。


(滅びかけの世界を滅ぼしてほしいっていうのも変な話だ。とにかくまともな状況じゃないんだろうな)

 どちらにしろ、一人で何とかなることじゃない。それこそ『勇者』や『魔王』を名乗れるような存在が必要だろう。


(となると今後の目標は)


 一つ、世界の現状を知る。

 一つ、『勇者』『魔王』あるいはそれに準ずる存在に合う。

 一つ、それらに話を聞いてもらえる立場、あるいは力を得る。



 これらが基本となって、今後の行動の基準となる。



 あと、あくまでついでだが、


 カミサマが何を求めているのかを知る。

 『俺の好きにすればいい』みたいに言っていたが、『こうなってほしい』という願望はあるはずだ。接触はできなくても、かつて『この世界にかかわった痕跡』があれば、予測できるかもしれない。



(どちらにしろ関わるんだし、不快な望みじゃなければ叶えたほうが気分がいい。それにそのほうが、カミサマの手助けも期待できる気がするし)

 色々後付の理由は付けたが、やっぱり一番の理由はあのカミサマだからだろう。カリスマだね。



(しかしこれ以上は頭が回らないな、さっきまでは気にならなかったけど、三日も寝てたってことはそれだけ食べてないってことだ。腹が減って集中できない)



 それから食事が来るまで20分程度、今か今かとそれだけを思い待ち続けることになった。



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