2話
「アスカ、ね!よろしく!それで、よければどうしてうちの庭で倒れていたのか教えてほしいんだけど?」
倒れていたのか俺は。しかしどうしたものかね?おそらく、いや間違いなく俺をここに送ったのはカミサマだ。
ということは、うまく立ち回ればきっと先へ進める。……どこへ行くことになるのかはわからないが。
一番まずいのは『嘘をつくこと』だ。なぜかって?もしばれたら一切の信用を失うからだ。もちろんカミサマ云々は言えないが、誠実に答える必要がある。
「それで?答えてくれないとちょっと困るんだけどな?」
……マズイな、これ以上考えてもいられないか。まったく、どこかの物語の主人公のように『~と一瞬で判断し』みたいな事できないからな……
とにかく『嘘禁止』『カミサマ禁止』のみ考えてそれ以外は出たとこ勝負だ!
「わからない」
「はい?」
「気が付いたら、ここ」
ティーナが怪訝そうな顔をする。当然だろうが仕方がない。一気に話せれば少しは違うのだろうが、まだ単語を並べていうだけで精一杯なのだ。
「じゃあなに?記憶喪失だとでもいうの?」
それは苦しいな、もっと別の理由がいいんだが……
「違うの?じゃあ転移魔法の暴走とか?」
ここで魔法が来たか!いや、後回しだ!今は目の前の少女に何としても『保護』してもらわなければ!
「これも違うの?ああ、じれったい!もっとはっきり言えないの!?」
……ひょっとして気づいてないのか?こっちがうまく話せないのに?ぎこちなくても一応話せてるからかな?
「言葉、聞く、できる。言う、難しい」
一瞬ティーナはキョトンとした顔をしたが、次の瞬間にはバツの悪そうな顔をして「ごめんなさい」といった。
『何言ってるの?』とか言われなくてよかった。理解力は高いんだな、俺にとっていいことなのかわからないけど。
「じゃあ、ゆっくりでいいから話して頂戴。できれば言葉が不自由な理由も」
藪蛇だった!まあ、仕方ないか。じゃあ、お言葉に甘えてゆっくりと。
「俺、送る、人、わからない」
「誰かに問答無用で転送されたってこと?」
おお、今ので通じた!嘘ではない範囲だしこんな感じで行けるか?でも通り魔に襲われたみたいになってるな。
「理由、選択肢、ない」
「その誰かが転送しようとしたとき、あなた以外手頃な人がいなかった」
やっぱ通り魔になってるな。わざわざ庇うこともないし、いっか。
「言葉、勉強、した。母国語、違う」
「言葉は勉強したけど、地元で使っていたものと違うからうまく話せない?」
「大体そう」
単語いくつか言っただけで、プロフィールを作ってもらった感じだな。楽だったけど、いつ矛盾が出るかわからないし、話すの練習しとこ……
「信じる?」
「う~ん、まあ嘘は言ってなかったし、信じてもいいかな?単語の発音がやたらきれいなのは気になるけどね」
……うそ発見器みたいな魔法でもあるのか?だとしたら危なかった……それにしても、頭使いながら話すのは疲れ『ぐぅ~~』るな。
「……」
「ふふ、そういえば三日も寝込んでたんだったわね。いいわ、何か食べるものもってきてあげるから待ってなさい」
「……わかった」
ハズカシ!普段なら気にしないけど、この状況ではちょっときつい!部屋から出ていく彼女を赤くなった顔で見送りながら、少しでも考える時間ができたと、腹の虫に感謝した。




