1話
……頭が痛い。意識が戻って一番に感じたのがこれだ。ただ我慢できないほどではないが、一日の始まりとしては最悪だろう。昨日何かやらかしたっけ?
……わかってる。というより、ようやく頭が動き出したか。ああ、理解してしまえばなんてことない、目を開ければそこは異世界なのだろう。
全力で逃げ出したくなったぞ?逃げて逃げられるものならな!本当にこのまま布団の中で引きこもってい…よ……?フトン?
がばっ!とマンガみたいな音を立てながら跳ね起きてしまった。一瞬『まさかの夢オチ?』と思ってしまったのだ。1%の希望って100%の絶望よりタチが悪いってほんとだね?
起きてみたら見慣れた部屋だったなんてこと、もちろんありませんよ?う~んわかりやすく言えば、超高級ホテルのロイヤルスイーツ?って感じだ。ここが異世界だというなら、貴族の館の一室かな?
「って、放心している暇はないな。そうだとすればすぐにでも人が『カチャ』……来ましたよ」
状況を確認するまもなく、異世界人とのファーストコンタクトに臨むのかと思うと、ほんとに涙が出てきそうだ。が、そんなこと関係なくなった。入ってきた人を確認して、息をのんだよ。
薄い青色のワンピースを着た、銀髪の美少女がそこにいた。
いや~お約束っていいね。これぞ異世界の醍醐味だよ。とか思ったとしてもおかしくないよね?そんな時間ないと分かっていても。
『ああ、よかった。気が付いたのね!』
その少女は理解はできるが、日本語ではない言語でそう微笑んだ。
なる……ほど……あのカミサマ、ケチったな?この世界の言葉をつかえるようにしないで、ただ知識だけをくれたようだ。わかりやすく言えば……いいたとえが浮かばないな。
とにかく!知識はあっても技術がない。流暢な会話まではできないだろう。ちなみにこの言葉『ネルレシア共通語』というらしい。『ネルレシア』は国か世界の名前だろう。
そんなことを考えていた俺をどう思ったのか、少女は言葉をつづけた。
『あ、自己紹介がまだでしたね?わたしは、クリスティーナ・アーヴァンクライトといいます。ティーナと呼んでください』
なるほど、俺が警戒してると思ったのか。とはいえいつまでも黙っているわけにもいかない。
名前か……なんていうか西洋系だな。苗字を言わなければ何とかなるか?
そう思いながら頭を切り替える。自分の言葉を『日本語』から『ネルレシア共通語』に変える。とはいえ、使いこなせるわけではない。
「名前、アスカ、……よろしく、ティーナ」
……何とも情けないファーストコンタクトになってしまった。




