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25話


 ズンッ、ドンッ、ガシャァァァン……


「アスカが最後に使った魔法だけどね、合成魔法ってやつだと思うよ」

 俺の『疲れたから帰りたい』という提案は、3対2で残念ながら却下された。内訳は、ティーナ、ナハート、ラルツの3人と俺、ミコトの2人だ。ラルツはまだいいとしてあとの2人は『人が戦っているのを見て終わりなんて納得できない』だそうだ。

「魔力効率が悪いし、何より複数の属性を鍛えないといけないから、あまり使い手がいないんだ」



 ズドォォォン、バンッ、ドゴォォォン……



「でも使いこなせるようになれば相当すごいものになるんですよ?ここまで言ってしまえば極端すぎるかもしれませんが……合成魔法の完成形が『全属性魔法』になるんですよ」

 なるほど……予想、というか想像と違った魔法になったのはそういった要素があったからか……でも難易度高めの魔法みたいだが、こんなに簡単に使えるものなのか?

「今回合成魔法になったのは、一から魔法の使えないアスカの事情があったからこそだけど……どうしてこうなったのかわかったから、他の人に教えればあっという間に習得できるだろうね」

 確かにな、今のままなら俺の固有技術みたいになるだろう。こうやって解析できたのはミコトが全属性魔法を目指していたからだし。



「独占するつもりは、ない」

 一応俺は隠れ里の使者っていう設定だから、こういった技術を隠すとひどいことになるだろうからできない。『魔法技術の調査と回収』が任務だと思われれば、存在しない隠れ里との戦争になるかもしれないからだ。そんなことになっても現実には存在しない相手が敵なのだから、魔女狩りの様なことになりかねない。

「じゃあ公表するの?」

「それも、ない」

 この世界のパワーバランスがどうなっているのか知らないので、それをむやみに壊す可能性のある行いはしたくない。となるとどうするのがベストなのかというと……



「……シンシアさんあたりに、任せる」

 自分1人ではどうしようもないので丸投げにするほかない。

「そういえば、アーヴァンクライト家に保護されているんだったよね」

「まあ、妥当なところだろうね。でも独占すれば一財産だよ?いいのかい?」

 なるほど、技術提供に対して金をとれば瞬く間に大富豪になれるのか。

「だが、断る!……面倒そうだし」



 ズンッ、ビシャァァァン、ゴンッ、



「まあ、アスカ君がそう言うのならそれでいいよ」

 ラルツは苦笑してはいるが、そこまで驚いていたりする様子がない。……ひょっとして読まれていたかな?

「それはそうと、あっちの2人は、大丈夫なのか?」

 先ほどから爆音を轟かせている2人は涼しげな顔をしているし、特に問題があるようには見えないがやっぱり気になる。

「いつものことだよ」

「そうですね、いつものことです」

 ……確かに授業であの2人が模擬戦っぽいのやっているのは見たけどさ、あそこまでの威力とは思わなかったんだよ!っあ、イヌ型が蒸発した……



「遺跡のことを言っているなら問題はないよ?せいぜい表面が焦げるぐらいみたいだし」

 それも確かに心配だったけどさ!……いいや、ラルツたちのお墨付きなら大丈夫だろう。あんなビームとか、雷とか……前衛が邪魔になるって話も納得だよ。通路を埋め尽くす一撃を複数同時に、あるいは連続で打ち出す姿は殲滅とか蹂躙って言葉ですら生ぬるく聞こえるほどだ。

「(仕様とは言え、灰も残らないから、血なまぐさい感じは、しないけど)」

「別に此処の魔物もどきじゃなくても欠片も残らないよ?」

 聞こえてたか……つか、規格外だなこの2人!それともこれが遠距離・高火力型魔法使いの標準なのか?

「もう言ったと思ったけど、学院の中でも5本の指に入る実力者だからね?」



「ねえ、ここで最後かしら?」

「うん?ちょっと待って……そうだね、この部屋で終わりみたいだね」

 ラルツと話している間に地下1階をコンプリートしたようだ。ちなみにマッピングは専用の端末があって自動で行われている。その他にもいくつか機能があるようだが、詳しくは覚えていない。

「……ふう、トラップの類もないようだね。じゃあ地下一階の探索を終わらせようか」

 魔法で安全を確かめ最後の部屋に入る。ちなみにこのフロアを守るボスのような存在はなかった。

「ちょっと物足りないけどこれで一区切りね」

「なんならもう1つ下りるかい?僕は構わないぞ!」

 地下5階くらいまでは『易しい』らしく、主に1年で学んだことを確認するのにもってこいの難度らしい。



「やめときましょ。そろそろいい時間だし、私たち2人でやってもあまり意味がないわ」

 とりあえず『何があるかわからないところで訓練するのが落ち着かない』という理由でこのフロアを制覇した訳だし(本音は別にあったが)、今日はここでお開きだろう。

「じゃあ、マークしときますね?」

 ミコトが端末をいじって次の探索をここからできるようにしている。

「では帰りは僕も前衛をやってもいいかな?1度やってみたかったんだよ!」

 ……え?帰りは魔法で~ってできないの?

「そうね……アスカもそろそろ回復してきたみたいだし、ラルツとミコトが後衛でわたしが補助ってことでやってみましょうか。物語りに出てくるようなパーティーでなかなか面白いわね」



 はじめての冒険は、まだまだ終わらないようだ……



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