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16話

 さて、あっという間に決闘なんてことをするハメになってしまったわけだが……無謀にもほどがあるってもんだろ!

「なので、できれば、痛くない、終わらせ方を、希望する」

「何が『なので』よ……まあ痛い思いをしたくないっていうのはわかるけど」

「大丈夫だよ。ナハート君の雷喰らったら、痛いなんて思う前に意識が飛ぶから」



 ……どこら辺が大丈夫なんだ?ちょっと泣きそうになっていると、ティーナがポンポンと肩をたたいて首を横に振ってきた。諦めろってことかい?

「まあ、痛い思いをしたくないなら先に一撃入れるか、それなりの一撃を防ぎきるかの2択でしょ」

「じゃあ、防ぎ方を、教えてくれ」

 俺の攻撃が当たるとこなんて、欠片も想像できないからな!剣なんて授業で使った竹刀と、修学旅行のお土産の木刀しか持ったことがない。……どっちも剣じゃないなんて突っ込みききたくない!



「その前にアスカ君ってどの程度の魔法が使えるか教えてよ。おれは属性すら聞いてないんだから」

 そういえばラルツには言ってなかったけ?

「鋼D+、火D-、土E-、あと、魔力がD-」

「2属性使っているんだ、珍しいね?」

 ……まあ、確かに鋼を主軸にして火を補助にしようとは思っていたけど?



「アスカが言ってるのは練度じゃなくて適正よ。まだまともに魔法使ってないはずだから」

「へぇ、最初から2つもDランクがあるんだ。1つに絞るの?」

 鋼の一択だと遠距離に不安が残るから絞ることはしない。そこで一番適性の高い鋼を選択肢から外すことを全く考慮に入れることがない俺は、やっぱり小心者なんだと思う

「鋼と、火で、やる、つもり。あと、練度?」

「練度っていうのは適正と経験を足したものとでも言えばいいかしら?現在使用できる魔法の強度って表現もいいかも」



 つまり使える魔法の強さも2ランクは上ってことかな?あ~なんだか思考が停止してきた。逃げ出したい。

「火が使えるんだったらそっちに絞る方が無難じゃないかな?今回は特に、雷も遠距離が得意な魔法だし鋼じゃ近づくの大変だよ?」

 攻撃なんて考えませんって。

「いや、防ぐ方で、いく」

「そっか、確かに鋼だったら『円楯ラウンドシールド』とかもあったっけ」

 楯系の魔法か……無難な初心者用魔法で行くか不完全な上位魔法で行くか悩むところだな。あくまで上位魔法が欠片でも使えることが条件だが。



「そういう、ことなので、何か、適当な呪文を、教えて欲しい」

「え?わたし鋼の魔法語なんて知らないわよ?」

 …………え?

「ああ、アスカは勘違いしてるよ。魔法っていうのは魔法語なしでも発動できるよ。あくまで魔法語っていうのは、イメージを固めるための補助を高速で行うためのものだから。極端な話、自分が作ったオリジナルの言語でも、イメージを固定させることができるなら立派な詠唱になるんだよ。もちろん言葉の持つ意味で、魔法を増幅することもあるから詠唱があった方が強力なものになるけどね」



 イメージの固定化、増幅を効率的に行われたものが一般に『決まった文句の呪文』として広まっているわけだがそれを知らないアスカに、わざわざ言ってショックを与える必要はないだろうと、ラルツは口をつぐんだ。

「ナハートもあなたの実力を見るのが目的だって言っているわけだし、共通語で詠唱しているうちに攻撃なんてマネしないでしょうしね」

 つまりは、日本語で詠唱してもOKってこと?なら元の世界の聖剣・・・・・・・とかのイメージも名前を使えば高速でできるってことか!?



「まあ、いくらイメージが完璧でも、その事象を起こせるだけの魔力を注げなきゃまったく意味がないんだけどね」

「さらにいえば、わたしがいなきゃ魔力を外に出せないんだから正面から受け止められるような魔法が使えるとは思えないわね」

 ……そうだった。相手は自分より1枚も2枚も上手だった。でも覚えないと使えないなんて魔法じゃなくてよかった。これなら俺の知識を総動員して使える魔法を考えるしかない!幸いなことに『魔法語』は知識としてあるから、それを使って増幅すれば何とか見れたものにはなるだろう。



 ここにきてもう一つ、考えを改めておこう。今まではできるだけ目立たないように情報を集め、力を蓄えようと思っていたが(実際できるかどうかは別問題だ!)、これからは派手にやって重要人物を集めようと思う!こうなった以上目立たずなんて不可能だし!

 まず手始めに、五行思想とか日本の霊刀の名前とか使ってやらかしてみよう!成功するかは知らないけどな!



 アスカは、自重を忘れた!



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