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12話

「ふ~ん、まあいいんじゃない」

「うん、似合ってると思うよ」

 朝食後に制服に着替えてみたのだが……だいぶすそ上げをしないといけないようだ。俺はあくまで日本人平均だ!!っといけない、それはともかく二人の感想を受け改めて自身を見直すが、何やらむずがゆく感じる。まあ、初めて制服に腕を通した時なんてそんなもんか。

「ありがとう、二人も、思ってた、以上に、カッコいい」



 俺だけでなく、目の前の二人も制服に着替えている。割と大きめの紋章(校章かな?)が左胸についたブレザーといえばわかりやすいと思う。もちろん(?)女子はスカートだ。生地は少し厚めだがとても動きやすく、おそらく夏冬兼用なのだろう、体温を調節する魔法もかかっているそうだ。さらには実技もこのままやるとのことなので、防護系の魔法もいくつか常備しているらしい。



「あら、あなたお世辞も言えたのね。でもありがとう」

「おれたちも入学したてだからね。そういってくれると嬉しいよ」

 そう、何とティーナたち新入生は今日からやっと授業が始まるといっていたのだ。今までは、学院生活の諸注意やら、施設の案内など実に入学してから10日もオリエンテーションをやっていたらしい。



「うん、大丈夫みたいだしそろそろ行こうか。アスカ君は教室の前に職員室で書類のチェックとあいさつがあるから」

「そっちは後見人ってことで母様がいるから、心配することはないわ」

 シンシアさん来るのか……お礼をまだしていなかったし、ちゃんとしとかないとな。寮から校舎までは歩いて30分ほどかかるらしいし、時間が無くなってまた言い損なうのも嫌だし少し急ごう。



「それで、どっちに行けば?」

 寮を出てすぐのことです、はい。急ごうと思って2人の前に出てしまった……

「左の方ですよ。ちなみに右に行けば街の方だよ」

「まったく……緊張するのもわかるけどちょっと落ち着きなさい」

 返す言葉もない……おとなしく二人についていくことにしよう。



「……ん?」

 ふと何かにみられているような気がしてあたりを見渡す。のだが、俺たち以外誰もいない。

「今は半端な時間だからよ。もうちょっと早ければ朝の自主練に行くのがたくさんいるし、もうちょっと遅く出れば普通に登校するのがたくさん来るわ」

 周りを見た理由を、人がいないのを気にしたと思ったティーナが説明してくれた。まあ人がいない理由はわかった。



「そうじゃ、なくて、視線を感じたんだ」

「視線か……ひょっとしてあのこかな?」

 そういってラルツが指差したのは一匹の黒猫だった。ちょっと離れた街路樹の根元にちょこんと座っている。

「クロね。王都全域にどこでも現れるらしいわ。王城にもうちの屋敷にもね」

「誰かの、使い魔、だったり?」



 つい呟いてしまったが違うだろう。というのも、アーヴァンクライトの屋敷を出るときそれらしきものを見たからだ。それは小鳥の形をしていて、魔力の糸が門番とつながっていたので『そういうもの』なんだと自然に思うことができた。

 ちなみにこの『魔力視』(俺命名)は①カミサマが内緒でくれたチート、②カミサマが『言語ラーニング』(これも俺命名)を俺に埋め込んだとき発生した偶然、③元々持ってた、の三択だと思っている。まあ、あのカミサマも言っていたが答え合わせはないので『持っている』事だけわかっていればいいわけだが。



「もしそうだとするならクリス様の使い魔でしょうね。まあ、あの人が使い魔を持っていたならこんなところでのんびりさせる様なことしないでしょうけど」

「この学院は貴族も多くいるからすごい結界が張ってあるんだ。それを突破できる人はそういないからね」

 まあとにかく使い魔ではないということか。色々秘密を作っていると過敏になるってほんとだね、ちょっと気を抜いたほうがいいのかな?



「それよりそろそろ行こうか、少し遅れ気味だよ?」

「あ、どうせだったらラルツの風で飛ばしてよ。魔法に慣れてないアスカの練習にもなるし」

 ……飛ばすってまさかほんとに空飛んだりはしないよね?

「もう少し、詳しく、話して」

 こんなとこで賭ける命なんてないぞ!着地に失敗してぺちゃんこなんて終わりを迎える気はない!



「簡単に言えば、背中を風で押すだけだよ。結構なスピードが出るから飛ばすっていうんだ。じゃあ行くよ?<風よ我らの背を押し、疾風の如く駆け抜けよ、風駆疾舞>」



 背中を押す風が強すぎてほぼ強制的に100メートルを10秒切るペースで走り続けることになった。……よく転ばなかったと自分で自分をほめてやりたいくらいだよ。



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