11話
「つまり、アスカ君は今ティーナがいないと魔法が使えないってことかな?」
『隠れ里出身という設定を隠す』と決めてから、そういえばティーナとどうやって出会ったのかの設定を考えてなかったことに気づき、慌てて考えたら『ティーナのせいで魔法が使えなくなった』ということになってしまった。
「詳しい原因は不明だし、母様でも治せないから学院で調べてみたら何かわかるかもってことになったの」
ちなみに今回の設定も、そのほとんどがティーナの考えたものだ。ちなみに細かい所については誤魔化したのだが、ラルツは追及せず当面の問題をどうにかしようというスタンスをとってくれた。
「封印術の一種なら、ティーナが力を貸したぐらいで何とかなるものじゃないし、誓約の類を結んだわけでもないんだよね?う~ん、おれじゃこの程度しか思い浮かばないかな?今度ミコトにでも聞いてみようか?」
「あの子本の虫だもんね。ま、期待しないでいましょう。これでこの話はいったん終わりね。あ!あとアスカは、田舎から出ていたばかりだから常識に疎いとこがあるからその辺の所のフォローもよろしくね」
何か新しい名前が聞こえたが、その話は今度聞こう。それよりも聞きたいことなんていっぱいあるし。
「学院では、どんなことを、学ぶことになる?」
まあ予習といったとこかな?当日慌てたくないしこれだけは聞いておかないと。……ん?食事?食堂からもらってきた空の大皿が3つほどありますが何か?そのほとんどは俺が食べたよ。いやラルツは意外なことに小食だった。下手するとティーナより少ないぐらいで、ダイエット中かもしれないかとも思ったが食後満足そうな顔してたよ……不思議だ。
「単純に言ってしまえば、歴史・魔法理論・実技の3つかな?一応魔法工学とか薬学とかも教えてくれるけど、中央はどちらかといえば戦闘方面に力を入れているからね」
「ちなみに東部が魔法工学、西部が薬学、北部が平均的に、南部が歴史に力を入れているわ」
ここでいう歴史とは古代魔法という意味もあるらしい。800年ほど続いたネルレシア王国の魔法は、ほぼすべてが『初代国王』から授けられたもので、二代目以降再現できない魔法も数多くある……らしい。もちろん普通の意味での歴史も教えていると付け足しておく。
「なぜ、中央で、武力の、育成を?」
一番効率がいいのは、前線近くでの育成だと思うのは俺だけではないはずだ。
「どこか特定の位置に魔物が常時大発生しているわけじゃないのよ。何かあったとき迅速に動けるように国の真ん中、国王の膝元に集中させているのよ」
つまり国内のどこにでも魔物が出るのか。それと他国との関係も良好なのかな?国境あたりの兵は……いや今はいいことだ、とりあえず魔物が存在することと、やたらと魔物の集まる『魔界』のようなところがないとだけ覚えておこう。
「そうだね、実技の授業で魔物討伐をやることもあるし、それともう1つ中央で武力育成を行う一番の理由は『遺跡』の存在だね」
『遺跡』つまりは『ダンジョン』があるのか……さすが異世界とでも言っておこう。
「奥に行けばいくほど強くなる『魔物もどき』と一定時間がたつと再生する機能もついていて、もう学生の為にあるといっても過言じゃないわ。トラップも同じよ」
ずいぶん便利だな。でも『遺跡』か……学院の『施設』と言われたらそんなものかと思ったかもしれないけど、これについても調べてみなければならないな。
「明日からのことが気になるのはわかるけど、そろそろ部屋の準備をしましょ?休む時間が無くなるわよ」
「……そうだった」
ラルツが買ってきた雑貨の整理と、掃除をしなければ今夜の俺の寝床が確保できない。ベッドだけあればとも思うが、わざわざ口論をするつもりもない。
途中でラルツがテキストの用意を忘れていた、といって寮を抜け出したりしてさらに時間がかかったりもしたが、まあ蛇足である。
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