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10話


「さあ、到着よ。ここが今後アスカの生活の場になる学生寮よ」

 手を引かれてたどり着いた先にあったのは、レンガで作られた割と大きな建物の前だった。何といえばいいか、とてもじゃないが寮には見えない、屋敷といった方がしっくりくるような景観だ。



「外観は当時の学院長の趣味らしいけど、中はかなり改装されていてそれぞれの部屋が別世界って感じになっているわ」

 なるほど、カオスですね。最初は何もない部屋を希望できますか?

「まあ、私たちの使っている部屋は普通だからそこまで不安そうな顔しなくても大丈夫よ。って、ここまで来たら説明するより見た方が早いわね」

 ……まさか同じ部屋で寝起きするの?



 ええ、この寮の中はアパートみたいだったのですよ。1チーム2~4人で一部屋(4LDK)そこで2人でチーム作っているティーナの部屋に行くことになったんです。……何をおっしゃいます、至極当然のことですよね別にがっかりなんかしてイマセンヨ?

 内装については、比較対象がティーナの実家の部屋(俺が寝ていた部屋ね)しかないので何とも言いづらいけど、とても似ているとだけ言っておこう。持ち主が同じとも言えなくないわけだしそんなもんだろう。ちなみに俺の知識基準だと、『スターのお宅訪問』でもしている気分だ。



 キッチン・風呂・トイレ完備だが、寮内には食堂・大浴場もあるらしい。テレビや冷蔵庫の役割を果たすものはなかったけど、明かりや空調、コンロについては『魔法具』なるものが存在した。蛇足かもしれないが『魔法具』は生活を助けるもので、『魔導具』なるものが魔法を増幅したりするもの(要は戦闘などに使うもの)らしい。



「ああ、もうついてたんだ。思ってたより遅くなっちゃったからな。そこの彼がアスカ君かな?おれはこれから同じルームメイトになる、ラルツ・ルートソギーだね。よろしく頼むよ」

 急に声を掛けられ驚いたが、そのまま流され自己紹介をされてしまった。まだ心臓がバクバク言っているが、いつまでも固まっているわけにもいかないので挨拶を返す。……そこ、ビビりとか言うな!



「アスカ・グランツ。こちらこそ、よろしく」

「お疲れ様。頼んでたものは全部そろった?」

 そういえば雑貨をどうとか言ってたっけ。ラルツの抱えた大量の荷物を、礼を言って受け取り指示されるままに自分の部屋に置いた。その間ティーナの質問は宙に浮いたままになっていたが、2人は特に気にしていなかった。



「うん。服についてはサイズは全部フリーサイズにしたから後日買い換えなきゃならないかもしれないけどね。思いつく限りは買っておいたよ。あと制服だけど、こればっかりは先に買っとくわけにはいかなかったから、兄さんの使ってたやつを持ってきたから」

 明日にでも採寸しに行くからよろしく、とのんびりした調子で付け足した。ちなみにラルツはブロンズの髪にかなりぽっちゃりした体格で俺より頭一つ大きい。垂れた糸目は愛嬌があり、口調も合わせてまったりとした雰囲気を持っている。



 ああ俺の身長?176センチだ。つまりラルツは2メートルぐらいの高さだな。ちなみにティーナは160センチぐらいだと思う。

「いや~ティーナが連れてくるっていうからもっと変わった人が来ると思ってたけど、君みたいな人で良かったよ。もう夜貴種ヴァンパイアとか竜種ドラゴンとか連れてくるんじゃないかってひやひやしたんだから」



「どっちもひきこもりじゃない!いくらなんでもそんなの連れてこないわよ!!」

 ……あ~この世界は異種族もいるんですね~。それにしてもヴァンパイアはともかくドラゴンって……人型用の服用意しているんだからそれはないでしょ?……まさかね?



「でもティーナだからね~。まあ詳しい話は、夕食をとりながらにしようか?食堂じゃなんだしちょっともらってくるよ」

 そういってラルツは部屋を出て行った。最初の邂逅としては短いっていうか……それより誰かに会ったら食事って流れが出来上がってきてる気がする!



 それと『隠れ里』設定の俺もひきこもりだよ?とティーナに言うと、ラルツには話さないってことに決まってしまった。



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