プロローグ1
まず最初に言っておこう……この俺、松井飛鳥はごくフツーの高校三年生だ。
勉強は塾なんかに通ってない割にはいいほうで、運動も帰宅部のくせに生意気だ!という程度でしかない。
友人関係もこれといってスゲー奴がいるわけでもないし、家族についても共働きの両親と二つ下の弟がいるだけだ。ちなみに父親は学校の教師で、母親はどこでだったか事務の仕事をやってる。
ああ、そういや最近は大学受験目前で勉強しなきゃなーとか思いながら部屋の片づけとかしていたな。他に言うなら弟がネトゲーにはまってたっけ。タイトルなんかは知らないけど。
まあ何が言いたいかっていうとだな、俺ってフツーだろ?いや別に実はかわいい幼馴染がいるとかいうこともないです。実は両親がスゲー金持ちの坊ちゃん嬢ちゃんで駆け落ちしてたなんて伏線もない。最初に言った通りのごくフツーの高校生だ。もうMr.フツーと呼ばれてもいいくらいだった。
あ~今のでもう気づいた奴もいるだろう。そう、「だった」だ。現在形ではなく過去形なのだ。過去形なんです。
大事な事なんで二度いったぞ!
「それで、いつになったら話聞いてくれるのかな?」
「…………」
ああ、くそ、今のは幻聴だったことにしたい!そして目をつぶれば元の平穏な生活に戻れることにしたい!!とはいえ、頭のどこかではもうわかっているのだ。そしてなんであろうと進まなければ何も変わらないのだ。
「とりあえず……聞きます」
覚悟を決めたわけではないが時間が有限である以上、いつまでも頭抱えていてもしょうがない。俺のフツーを粉塵にした白いワイシャツに黒いズボンをはいた空中に腰かけた青年に目を向けることにしたのだ。
「まあ気持ちはわからないでもないけどね。とにかく、この『世界の狭間』に君を呼んだのは他でもない私だよ。君に頼みたいことがあってね」
「拒否権を行使します」
「そんなものないよ」
……さすがにイラッと来たね。だがそれも長続きしない。目の前の男は即答の割にどこか寂しそうな顔をしていたからな。
「……理由を聞いてもいいか?」
「君以外適任がいないからだよ。そうだね恨むのならちゃんと私を恨んでくれよ?」
……くそっ、なんでかね?それならしょうがないって思ってしまうなんて、俺もお人好しだね。……んなわけねーだろ……
「……あんた何者だよ」
「一応神様とかやらせてもらってるよ」
また寂しそうな……違うな、申し訳なさそうな顔してんだなこのカミサマは。それにカリスマっていうのかね?この男の願いなら……って思ってしまうのは。
「もういいや……それで頼みってのはなんですか?」
ここでごねても意味はないと考え、話を進める。結局理由はどうであれこの神様の頼みは断れないのだ。
「ああ、それはだね……」
「一つ世界を滅ぼしてほしいんだ」




